時代錯誤の女性蔑視発言と<居直り謝罪>の醜態にもかかわらず、森喜朗元首相(83)はなぜ、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会会長の座にとどまれるのか? その秘密は、面倒見のよさで政界随一という、森のこまめな世話役的個性に根差すと私は思う。 森に義理を感じている人物が政官界、メディア、スポーツ界に多い。義理があるから森をかばう。 「森さんだから、まとまれる」という、うわべの調和の実態は、森を結節点にした利害関係者のもたれ合いである。意思決定は速やかだが、議論は疎まれ、批判は押し潰される。 ◇ 政界人物論の名手だった毎日新聞政治部の先輩、岩見隆夫(2014年没)によれば、森は「永田町の町内会長」である。 「……とにかく、面倒見がいい。相談しやすい。話がうまく、和む。情があってやさしい。怒ってもシコらない。融通無碍(むげ)で敵がいない」(08年8月9日付コラム「近聞遠見」) 確かにそう