ここ数年、あまりにも頻繁に動物病院に通っているonoesanこと私は、もはやすっかり常連気取り、新顔の患者さんには先輩風を吹かしている。 ケージを2つ持った人が来院したらすかさずドアを開けに行き、撫でてもらいたそうな犬がいたら、いそいそと隣に移動して全身を撫でまわす。 先生もスタッフの女性たちも、そんな余計なお世話を満足げに撒き散らす私を、変わらず冷めた目で見守ってくれている。 その日、待合室を見渡したものの手を貸せそうな目ぼしい相手が見つからなかった。それで、お気に入りの、全体がよく見渡せる席に座った。 しばらくして入口のドアから女性が入ってきた。艶のある茶色の髪を後ろでアップにし、白いニットのワンピースにスニーカーを合わせている。 30代後半くらいだろうか、カジュアルな雰囲気にまとめているが、細部に渡ってまったく隙がない。特に髪の毛の美しさときたらなかった。 髪には生活の疲れが出るし、