並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

1 - 6 件 / 6件

新着順 人気順

杉田俊介の検索結果1 - 6 件 / 6件

  • 松本人志についてのノート|杉田俊介

    (約27500字) (注1)有料記事になる前に、投げ銭を頂いた方で、その後記事が読めなくなってしまった場合、ご連絡下さい。個別にテクストをお送りします。お手数をかけます。sssugita@hotmail.com (注2)この文章を大幅に加筆修正して、また北野武/ビートたけし論を加え、三本の対談座談を行って、一冊の本として『人志とたけし』(晶文社)を刊行しました。よければ手に取ってみてください。 1 以前、渋谷のシネコンで実写版『ジョジョの奇妙な冒険』を観たあと、何だか晴れ晴れとしない気分のまま、居酒屋で映画プロデューサーのK氏と雑談をしていて、積年の小さな疑念がぱっと晴れた、と感じた瞬間があった。たしか北野武の映画について話し込んでいた流れだったが、かつてお笑い芸人を目指していたというK氏は、こんなことを言ったのだ。「松本人志は天才ではありません、あの人はどこまでも普通の凡人なんですよ、杉

      松本人志についてのノート|杉田俊介
    • 『シン・エヴァ』、私たちは「ゲンドウの描かれ方」に感動するだけでいいのか? 根本的な疑問(杉田 俊介) @gendai_biz

      * * * * 【注意】本稿は『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』、『エヴァンゲリオン』シリーズのネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。 * * * * 出発点であり、到達点ではない 『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(以下『シン』)を観る前に、私が考えていたのは、ループでも並行世界でも続編でもぶん投げでもなく、ちゃんと「終わり」を見せてほしい、ということだった。作中の大人たちの行動と責任を、そして庵野監督の成熟と喪失を見てみたかった。何より作中のシンジ、レイ、アスカら子どもたちを解放してあげてほしかった。それに比べれば、作品として成功か失敗かは二の次に思えた。 2021年3月8日、公開初日の朝、劇場で『シン』を観終えた時、こう感じた。庵野監督は、可能なすべてに決着をつけていた。過剰な欲望の表現ではなく、成熟の道を選んでいた。これまでの『エヴァ』の物語に、登場人物たちの人生に

        『シン・エヴァ』、私たちは「ゲンドウの描かれ方」に感動するだけでいいのか? 根本的な疑問(杉田 俊介) @gendai_biz
      • 映画『天気の子』を観て抱いた、根本的な違和感の正体(杉田 俊介) @gendai_biz

        本日1月3日、夜9時から新海誠監督の『天気の子』が地上波で初めて放送される。映画公開時の2019年8月に批評家の杉田俊介が現代ビジネスに寄稿した同作の批評を再掲する。 【本稿はネタバレを含みます】 「アニメ化する日本社会」を批判するアニメ 新海誠監督の新作『天気の子』を観て、疑問を持った。その疑問について書く(今回は枚数制限があるため、他の新海作品との比較などは行わない。私の新海誠論については『戦争と虚構』(作品社、二〇一七年)を参照)。 『天気の子』の舞台は、異常気象でもうずっと陰鬱な雨の止まない、東京オリンピック・パラリンピックの翌年の東京である。伊豆諸島の離島・神津島から何らかの事情で家出し新宿でネットカフェ難民となった高校生の森嶋帆高(ほだか)と、母を病気で失って弟の凪(なぎ)と二人で安アパートに暮らす天野陽菜(ひな)――天に祈ることで天候を晴れに変える力をもった「100%の晴れ女

          映画『天気の子』を観て抱いた、根本的な違和感の正体(杉田 俊介) @gendai_biz
        • 映画『天気の子』を観て抱いた、根本的な違和感の正体(杉田 俊介) @gendai_biz

          【本稿はネタバレを含みます】 「アニメ化する日本社会」を批判するアニメ 新海誠監督の新作『天気の子』を観て、疑問を持った。その疑問について書く(今回は枚数制限があるため、他の新海作品との比較などは行わない。私の新海誠論については『戦争と虚構』(作品社、二〇一七年)を参照)。 『天気の子』の舞台は、異常気象でもうずっと陰鬱な雨の止まない、東京オリンピック・パラリンピックの翌年の東京である。伊豆諸島の離島・神津島から何らかの事情で家出し新宿でネットカフェ難民となった高校生の森嶋帆高(ほだか)と、母を病気で失って弟の凪(なぎ)と二人で安アパートに暮らす天野陽菜(ひな)――天に祈ることで天候を晴れに変える力をもった「100%の晴れ女」――のボーイ・ミーツ・ガールの物語である。 身寄りもなく、経済的にも貧窮した彼らは、陽菜の「晴れ女」の力を使って小さなベンチャービジネスを始めるが、陽菜はその能力の代

            映画『天気の子』を観て抱いた、根本的な違和感の正体(杉田 俊介) @gendai_biz
          • 『呪術廻戦』は「死」をどう描いているか、『鬼滅』『チェンソーマン』との決定的な違い(杉田 俊介) @gendai_biz

            ※本稿は『呪術廻戦』のストーリーの核心に触れる部分を含みます。 死を描く『鬼滅』『チェンソー』『呪術』 近年の「週刊少年ジャンプ」で連載されている『鬼滅の刃』、『チェンソーマン』、『呪術廻戦』、『アンデッドアンラック』等々を読んでいると、次のような印象を受けます。 これらの作品は、たしかに、いかにも「ジャンプ」らしい王道のバトルマンガの系譜を引き継いでいます。しかしそこでは、キャラクターたちのおびただしい死が積み重なり、毎号毎号、憂鬱な展開のインフレを競い合っているかのようです。こうした暗鬱な作品たちが「少年誌」と銘打った「ジャンプ」に毎週掲載され、しかもそれが青年や大人だけではなく、小学生たちにも(特に『鬼滅の刃』『呪術廻戦』)共感をもって読まれている現代の世相とは、いったい何なのか。 人間たちが無意味にあっけなく死んでいくのは、自然法則のように当然なことであり、普通のことだ。これらの作

              『呪術廻戦』は「死」をどう描いているか、『鬼滅』『チェンソーマン』との決定的な違い(杉田 俊介) @gendai_biz
            • 承認欲求がインフレした「総芸能人社会」と「ポピュリズム」の深すぎる関係(杉田 俊介) @gendai_biz

              二〇一九年の夏、ネット(note)に「松本人志についてのノート」という批評文を公開したところ、当初の想定を超えて、大きな反響がありました。長文であり、内容も生真面目な評論文だったため、反応の大きさが意外でした。それだけ、芸人としての松本人志の影響力が大きいということであり、多くの人にとって「松本人志とはどんな存在なのか?」ということが気になっているのでしょう。 それだけではなく、芸能人やお笑い芸人たちという存在そのものが、現代社会のあり方を象徴しているのかもしれない、とも感じました。 実際に私たちはすでに、様々な社会的・政治的な問題を、メディアやSNSなどを通じて「ワイドショー的」「芸能的」に認知し、解釈し、理解するような社会の中で生きています。関心を集めている人々の行動について「うまいことを言おうとする」、そしてそのことによって注目を集めようとする、マキタスポーツ氏の言う「一億総ツッコミ

                承認欲求がインフレした「総芸能人社会」と「ポピュリズム」の深すぎる関係(杉田 俊介) @gendai_biz
              1