はじめに 令和2年(2020年)現在、皇位継承権をもつ皇族は三名しかおられない。「皇統断絶」の可能性も指摘される危機的状況にあるため、男系皇裔である旧宮家――幕末の伏見宮邦家親王を共通祖先とする「伏見宮系皇族」――の子孫に皇籍を付与することや、皇室史上先例がない女系継承を認めることが提案されている。 だが、旧宮家末裔の皇籍取得については、国民に受け入れられないのではないかと懸念する声がある。というのも、彼らは皇籍離脱からかなりの歳月が経過しているうえ、現皇室との男系共通祖先が室町時代の伏見宮貞成親王であり、今上天皇とは血縁がかなり遠いからだ。 旧皇族は、既に60年近く一般国民として過ごしており、また、今上天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の方々であることを考えると、これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることができるか懸念される。 ――報告書「皇室典範に関