今年、特権階級を指す「上流国民」という言葉が注目され、流行語大賞にもノミネートされた。格差社会が叫ばれて久しい日本で、いま何が起ころうとしているのか。 社会階層論、学歴社会論などが専門の社会学者、吉川徹・大阪大学人間科学研究科教授が読み解いた。 ◆◆◆ 平成は、昭和天皇の健康悪化による自粛ムードの末、しばしの服喪を経て始まった。だが令和元年は全く違った。「計画運休」ならぬ計画改元だったからだ。結果、国民はかげりなく今回の皇位継承を受け止めることができた。 ところで今、日本人女性の第1子出産平均年齢は30.7歳、第2子出産平均年齢は32.6歳だ(内閣府が公表している2016年の数値)。25歳前後だった昭和の昔と比べると、ずいぶん高年齢化したものだ。すると皇位継承の30年のインターバルは、現代日本人親子の標準的な年齢差とほぼ同じだということになる。天皇家の親から子へ、子から孫へという「代替わり