文部科学省の宇宙開発委員会専門部会は31日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査機「あかつき」の平成22年の周回軌道投入失敗について、主エンジンに燃料を送るための弁の設計不良が原因だったとする調査報告書案を了承した。 報告書案などによると、あかつきは金星に向かう約半年間の飛行中、蒸発した酸化剤と燃料が反応して想定を超える量の塩を生成。これが燃料タンク側の弁に付着して弁が開かなくなり、必要な燃料が主エンジンに届かず軌道投入に失敗した。 酸化剤と燃料の反応自体は設計時に予想されていたが、弁の部品に問題があり、通り抜けて燃料と混ざる酸化剤の量を実際の100分の1以下に過小評価。コストや日程の都合で検査も一部省略されたという。 調査したJAXAの稲谷芳文教授は記者会見で「想定外だったが、設計段階で防げたはずで大変残念」と話した。あかつきは別の小型エンジンを使って27年にも軌道投入に再挑戦する