笠谷和比古(かさやかずひこ)著「真田松代藩の財政改革・日暮硯と恩田杢」吉川弘文館刊 を読み終えた。 恩田杢(木工・もく)という人物については小説の分野で、真田太平記など一連の真田もので著名な作家・池波正太郎さんの「真田騒動 恩田木工」という作品がある。 また著者の笠谷和比古氏は歴史家で、私が一時通っていた大阪の朝日カルチャーセンターで戦国時代などに関連した一連の講義を受けたことがある。 この場合の真田松代藩とは有名な真田幸村の兄で父や弟と袂を別ち、徳川家康に臣従した真田信之(のぶゆき)を藩祖として、当初真田一族ゆかりの信州上田6万石を領していたがその後同国松代10万石に転封された。 江戸時代中期になると米経済から貨幣商品経済に変わるなかで、年貢米を唯一の収入とする多くの藩は米価と生活費の乖離に苦しみ財政が立ち行かなくなる。 この財政改革に各藩が取り組むなかで失敗と成功の事例が生まれるが、信