「診断治療」目的のPCRから,「防疫」目的の抗原検査へ 新型コロナウイルスとの闘いにおける検査の目的は当初,「診断治療と濃厚接触者追跡」であり,主役はPCR検査であった。その後,感染を広げる無症状者の存在と感染拡大により,検査・追跡・隔離の戦略も拡大を迫られるも,ほとんどの国で追跡スタッフの不足,試薬の国際競争,高いコストのため,困難となった。 一方,簡易かつ迅速で,安価かつ大量に製造でき,世界的な需要にも対応しやすい簡易迅速検査の必要性が認識され,現在は抗原定性検査キット(以下,抗原検査キット)が広く利用されるようになった1)。本稿では抗原検査キットについて,特に公衆衛生検査として「防疫」を目的とした活用についてのエビデンス,海外の動向を紹介する。 抗原検査キットの特徴と有用性,結果解釈時における注意点 新型コロナウイルスの抗原検査キットは,新型コロナウイルスに由来する抗原と抗原抗体反応