アニメーション作品の美術監督……と聞いて、どんな職業をイメージするだろうか? 大まかにいうと、キャラクター以外の背景を描く人、バックに描かれる建物や草木、空の色などを決めて作品の雰囲気を統括する人だ。だが、建物の形までデザインしているとは限らない。それでも、すべての背景は美術監督がコントロールしている。 数え切れないほどのアニメ作品が放送・配信・公開される中、どうすれば美術監督になれるのだろう? どうすれば美術監督として仕事を続けていけるのだろう? 最新の美術監督作「ジョゼと虎と魚たち」が今月12月25日から公開される金子雄司さんに、お話をうかがった。 デジタル化の余波で、職域が混沌となった2000年代アニメ業界 ── 80年代までは、どの美術監督がどういう絵を描くのか明確で、作品が個性的だったと思います。 金子 今はデジタルならではの平均化された背景か、スタジオジブリや新海誠さんの作品の