全国の自治体が低所得者向けに提供する公営住宅を巡り、入居後に収入が増えて退去対象となった世帯の約3割について、自治体が退去請求など適切な手続きを行っていなかったことが会計検査院の調べでわかった。検査院は17日、国の補助を受けて整備・運営される公営住宅事業が適切に行われていないとして、所管する国土交通省に改善を求めた。 【地図】近年の公営住宅の活用例…学生受け入れ、職人育成など 公営住宅法などでは、自治体は、収入基準額(月15・8万円)を超えても住み続ける世帯に家賃を上乗せし、基準額の約2倍を超過した世帯には退去を求めることとなっている。 検査院が今回、13道府県の公営住宅約3万戸を抽出調査したところ、約2100戸が退去請求の対象となっていた。自治体はこのうち約720戸に対し、入居者の自主的な退去に委ねるなどして請求を行わず、一部の自治体は退去しない事情の確認も怠っていたという。