江戸の「荒事」と上方の「和事」。 近代以前の日本では、この二つの地域が刺激しあいながらひとつの日本の文化を形作っていた。時代の潮流のなかで失われた上方和事の復元は、東京中心の偏った日本文化を是正し、バランスのとれた発展を促す。研究者と歌舞伎役者の協同研究成果である二つのシンポジウム記録や最新の論考、脚本、演出ノートを収録。初代坂田藤十郎の幻の舞台『夕霧七年忌』を当時のままに復元した実験上演DVDを付す。 初代坂田藤十郎没後三〇〇年記念出版 上方和事研究の意義(坂田藤十郎) 今なぜ上方和事なのか(田口章子) 失われた半身探し(諏訪春雄) ◆シンポジウム 元禄上方和事復元の道(坂田藤十郎、山村若、茂山忠三郎、諏訪春雄、田口章子) 元禄期初代坂田藤十郎の和事舞台復活をめぐって(坂田藤十郎、中村翫雀、藤舎呂船、諏訪春雄、田口章子) 「夕霧七年忌」脚本(諏訪春雄) 演出ノート(中村翫雀) 初代坂田藤