高度な科学技術を擁しながら、それを外国の侵略から自国や国民を守り抜くことに生かそうとすると、政府の機関から批判され、妨げられる奇妙な国が世界で一つだけあります。ほかならぬ日本のことです。 この政府の機関とは日本学術会議のことで、同会議が排斥しているのが、防衛省が平成二十七年度に創設した「安全保障技術研究推進制度」です。この制度は、防衛と民生の双方に応用可能なデュアルユース(軍民両用)技術の研究を支援するものです。 学術会議による、日本のための軍事科学研究の排斥はゆゆしき問題なのですが、筆者は十月二十六日召集の臨時国会の代表質問や予算委員会の基本的質疑を みて、驚きかつ呆れてしまいました。 この重大な問題が論じられなかったからです。代表質問や予算委員会における学術会議をめぐる質疑は、ピントのズレたものになりました。 菅義偉内閣発足後初の国会の冒頭の論戦では、確かに学術会議に多くの時間が割かれ