・Kという男はそもそもそんな性根の悪いヤツだったろうかということです。これについては全然記述がありません。唯一、身内との戦いの時に徹底的に戦ったということがありますし、相手を敵とみなすとか徹底的に戦おうと思ったらそりゃ相当強いし徹底的に戦うのでしょう。その戦っているときに一体Kがどんな表情をしているかはわかりませんし、それこそまるで悪鬼のような表情をしていたかもしれません。それは否定できないわけですが。 でもそうであればこそ先生が御嬢さんを奪った、自分の敵に回ったとなれば相当な熱を入れて戦うことになる、と考える方が余程自然です。よりによってわざわざ自殺を選ぶ必要性など全くない。実際そういう経緯がかつてあったわけですから、そうではなくて「おのれ先生め、よくも俺の御嬢さんを奪ったな」と幽鬼のようになり死後も先生を恨めしく思い呪い続ける……というのでは明らかに話がおかしいわけです。Kならそんな道