人工知能(AI)の研究は、生体の脳の機能をいかにモデル化(単純化)するかの研究でもある。この2年ほどで、これまでの深層ニューラルネットワーク(DNN)に比べて、より脳に近い「スパイキングNN(SNN)」が、省エネルギーでDNNを凌駕する結果を出すようになってきている。米国のIntel、IBMなどが研究開発に本腰を入れ始めている。 AI技術の代表格だった深層ニューラルネットワーク(DNN)に強力なライバルが登場してきた。生体の脳神経細胞(ニューロン)の仕組みを、より忠実に取り入れた「スパイキングニューラルネットワーク(SNN)」である。 SNNのスパイキングとは、“ニューロン"間でやり取りする信号の波形が、スパイク、つまり針状の突起のようであることによる。信号の強弱は、信号の大きさや振幅ではなく、頻度の多寡やタイミングなどで表現する。生体のニューロンが実際そうしたスパイク信号を用いていること