自らのブドウ畑を案内する「夏木酒荘」経営者、張湃さん=中国・寧夏回族自治区銀川市で2024年8月7日、小倉祥徳撮影 「中国ワインで世界を驚かせよう」。中国当局はこんなスローガンを掲げ、ワイン産業の育成に力を入れてきた。ところが、国内ではむしろワイン離れが進み、ワイナリーは順風満帆とはほど遠い状況という。ブレーキになっているのは、習近平指導部の政策だ。 目指すは「世界的ブランド」 中国内陸部・寧夏回族自治区は、井上靖の小説「敦煌」の舞台の一つとなった西夏王朝が栄えた拠点として知られる。区都・銀川市郊外に位置する賀蘭山麓(さんろく)を8月上旬に訪ねるとブドウ畑が広がっていた。 「除草をせず、農薬も使わない中国古来の農法でブドウを栽培しています。醸造も工夫を重ね、自然な風味を引き出しています」。こう説明するのは、現地でワイナリー「夏木酒荘」を経営する張湃さん(49)だ。 元々は建築デザイナーで、