米テキサス大学で「遺伝と学歴の関係」について研究するキャスリン・ペイジ・ハーデンさんによる著書『遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―』(新潮社)が刊行されました。 格差社会と結びついた「親ガチャ」という流行語は、環境要因だけでなく、遺伝的要因についても言われることがあります。実際に遺伝による能力差は、貧富や学歴にまで影響を及ぼすとされてますが、この遺伝によって生じている社会的不平等、そしていかに平等はもたらせるのか、そこにフォーカスしたのが本作です。 最新の研究成果を私たちはどう受け止めるべきでしょうか? 格差問題を含め社会のあり方について言及している作家の平野啓一郎さんが本作について綴った書評を紹介します。 平野啓一郎・評「また新たな基礎的教養書の登場」 遺伝に関しては、モヤモヤしたものが社会にある。 例えば、背の高さや顔の作りといった人間の外観に、遺伝の影響を一切認めないという人は