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  • R.I.P. Mark Stewart | ele-king

    文:野田努 「彼らはついに、変化とは、改革を意味するものでも改善を意味するものでもないことに気がつくだろう」——フランツ・ファノンのこの予言通り、世界は変わらなくていいものが変えられ、変わって欲しいものは変わらない。憂鬱な曇り空に相応しい訃報がまた届いた。その少し前にはジャー・シャカの訃報があり、今朝はマーク・スチュワートだ。いったい、坂本龍一といい、シャカといいマークといい、あるいは昨年から続いている死者のリストを思い出すと、勇敢な戦士たちがあちら側の世界に招かれている理由がこの宇宙のどこかに存在しているのではないかという妄想にとらわれてしまう。ファノンはまた、「重要なのは世界を知ることではない、世界を変えることだ」と言ったが、その意味を音楽に込めた人がまたひとりいなくなるのは、胸に穴が空いたような気分にさせるものだ。 一般的に言えばマーク・スチュワートは、ブリストル・サウンドのゴッドフ

      R.I.P. Mark Stewart | ele-king
    • 編集部より | ele-king

      周知のように、いまアメリカ全土では、ミネアポリスでジョージ・フロイドが白人の警察官から暴行を受け死亡した事件をきっかけに、人種差別に反対する抗議運動が広がっている。このプロテストを支持する意味で、音楽業界全体が活動休止する「black out Tuseday」が本日起きている。 まず、エレキング編集部に入って来ている情報を整理しながら、どう考えているかを明らかにしておきたい。コロナ騒ぎが起きる前から、たとえばロサンジェルス在住のニール・オリヴィエラ(デトロイト・エスカレーター・カンパニー名義で知られる)から、すでに冷酷な格差社会が広がっており、いつ暴動が起きてもおかしくないテンションがあるという話は2か月前に聞いていた。また、これはアメリカの他の都市にも言えることだが、黒人が多く住んでいる地区にはスーパーも数少ない上にマクドナルドの方が安上がりなので、どうしても食生活に偏りが出てしまう。結

        編集部より | ele-king
      • interview with Joy Orbison | ele-king

        ジョイ・オービソンは素晴らしい。なにしろ彼の叔父は80年代末という、まだこのジャンルが超アンダーグラウンドで、海のモノか山のモノかもわからなかった時期から活動しているジャングルのDJ、レイ・キースなのだ。30年ほど昔の話になるが、ぼくは彼の叔父が関わっていたロンドンの現場を経験している。それはいまだ忘れがたきハードコアで、ラフで、労働者階級的で、人種と汗の混ざったパーティだった。メインフロアがラガ・ジャングル、セカンドフロアがハウスという構成で、DJブースの脇には盛り上げ役としてMCとダンサーが立ち並んでいたが、そんな必要などないくらいにオーディエンスの熱狂が並外れていた。あんな汗まみれの現場で長年回してきたDJが身内にいる。しかも13歳にしてターンテーブルでミックスを覚えたら、それはもうUKダンス・カルチャーの申し子と言える才能が磨かれよう。 じっさい2009年の彼のデビュー・シングル「

          interview with Joy Orbison | ele-king
        • interview with Shintaro Sakamoto | ele-king

          Home > Interviews > interview with Shintaro Sakamoto - 坂本慎太郎、新作『物語のように』について語る この20年のあいだにリリースされた日本の音楽において、傑出したプロテスト・ミュージックに何があるのかと言えば、ぼくのなかでは、たとえばゆらゆら帝国の『空洞です』と坂本慎太郎の『ナマで踊ろう』が思い浮かぶ。が、その解説はいまはしない。いまはそんな気持ちになれない。イギリスでウェット・レグが売れるのも理解できる。いまは誰もが楽しさに飢えているのだ。 しかしその背景は決して幸福なエデンなどではない。『物語のように(Like A Fable)』——この思わせぶりな言葉が坂本慎太郎の4枚目のアルバム・タイトルで、前作『できれば愛を』が2016年だからじつに6年ぶり、オンラインメディアがそのみだらな馬脚を現す前の話で、ドイツはなかば理想的な環境先進

            interview with Shintaro Sakamoto | ele-king
          • R.I.P. Gabi Delgado(ガビ・デルガド) | ele-king

            ガブリエル・デルガド・ロペス、通称ガビ・デルガドが3月22日に死去していたことが複数の海外メディアで報じられた。61歳だった。死因は現在のところ公表されていないようだが、彼のキャリアにおけるもっとも有名なプロジェクト、DAFの相方だったロベルト・ゲイルが彼の死を確認しているという。 ガビがヴォーカルを務めたバンド、DAF(ドイチュ・アメリカニシェ・フロイントシャフト )は、1978年にドイツで結成されたパンク・バンドであり、やがて磨かれるその際だったサウンド──言うなればジョルジオ・モロダーのパンク・ヴァージョンとも喩えられるエロティックかつパンキッシュなエレクトロニック・サウンドによって一世を風靡した。その影響はボディー・ミュージックからデトロイト・テクノ、ウェストバムから石野卓球などじつに広範囲にわたっている。 DAFに関しては、1979年のファースト・アルバム『Produkt Der

              R.I.P. Gabi Delgado(ガビ・デルガド) | ele-king
            • 250(イオゴン) | ele-king

              映画『母なる証明 Mother』(dir. Bong Joon-ho, 2009)はトロットのリズムに合わせた「母」の踊りで首尾を飾る。報われない犠牲、解消しえない性欲、後に戻れない選択でまみれた人生からの一瞬の逸脱を集約した表現として解釈しうるだろうし、これらを併せて考えると『ポン PPONG』という題名から見出せる情緒はだいたい思い浮かべるだろう。 「ポンチャック」は成人歌謡とも呼ばれるトロットまたはトロット・テクノの蔑称である。そして「ポン」は果実、精髄などを指す俗語、あるいは性交、麻薬の隠語として使われる。リード・シングルで発表された“이창(Rear Window)”(2018)と“뱅버스(Bang Bus)”(2021)のヴィデオが露骨に性的隠喩・描写を含んだことに対して、私が過剰な意味の探り合いを警戒すると同時に特別に問題視するわけでもない理由は、まさに「ポン」にまつわる情緒が

                250(イオゴン) | ele-king
              • ♯5:いまブルース・スプリングスティーンを聴く | ele-king

                ブルース・スプリングスティーンに“レーシング・イン・ザ・ストリート”という曲がある。『Darkness on the Edge of Town(町外れの暗闇)』、日本では『闇に吠える街』という邦題で知られている1978年のアルバムのA面最後に入っている曲だ。アメリカという国おいて、車、そしてストリート・レースとは庶民的な、いや、労働者階級文化の庶民性をもっとも反映したサブカルチャーだ。ぼくは一度だけ、1998年9月、デトロイトでのストリート・レースを見物したことがある。たしかに「町外れの暗闇」に包まれた道路の、夜の深い時間だった。 スプリングスティーンの“レーシング・イン・ザ・ストリート”が名曲なのは、元工場労働者/バスの運転手だった父親のもとに育った彼が、70年代後半の名作と言われている諸曲と同様に、洞察力をもってアメリカ労働者階級の日常をリリカルに描いている点にある。が、同曲の歌詞はそ

                  ♯5:いまブルース・スプリングスティーンを聴く | ele-king
                • 変遷する阿部薫のサウンド像について | ele-king

                  3月3日にLOFT 9 Shibuyaで伊基公袁(イギー・コーエン)監督のドキュメンタリー映画『阿部薫がいた documentary of Kaoru Abe』がプレミア上映された。30分に満たない短編映画であり、阿部薫本人の映像は登場しないものの、さまざまな立場の人物による証言から稀代のサックス奏者を新鮮な視点で照らし出す、きわめて現代的な作品に仕上がっていた。 阿部薫の実家には遺影が飾られている。 映画『阿部薫がいた documentary of Kaoru Abe』より。 映画は軋るようなサックス・サウンドを彷彿させる走行音が鳴り響くなか、列車に揺られて阿部薫の墓所へと向かうシーンから幕を開ける。カメラはその後、神奈川県川崎市にある実家を訪ね、住宅の一室で実の母・坂本喜久代が息子との思い出を振り返るシーンを映し出していく。いまやオリジナル盤が70万円もの高額で売買されているというレコ

                    変遷する阿部薫のサウンド像について | ele-king
                  • interview with Squarepusher | ele-king

                    取材・文:ジェイムズ・ハッドフィールド 翻訳:尾形正弘(Lively Up)、榎田京輔(Lively Up) Jun 11,2021 UP ロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインの美術学部に入学したとき、トム・ジェンキンソンは借りられる最高額の学生ローンを受け取り、その全額をはたいて中古の機材を買い揃えた。1400ポンド分の小切手は、中古のAkai S950サンプラー、2台のドラムマシン、ミキサー、DATレコーダーを買えるだけの額であり、これらの機材は、スクエアプッシャーとしての1996年のデビューアルバム『Feed Me Weird Things』に収められた音楽を作る上で不可欠な役割を果たした。当時のジェンキンソンは、レイヴ・ミュージックの文体を身につけながらそこに変化を加えてより斬新な可能性を追い求めようとするミュージシャンたちの流れに属していると見なされてお

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                    • interview with FINAL SPANK HAPPY | ele-king

                      BOSS THE NK と OD という謎に包まれた(?)ふたりによる「三期」にして「最終」の SPANK HAPPY。ある意味、露悪的なまでにフェティシズム、マゾヒズム、サディズム、ペドフィリア、窃視……といった性倒錯をハウスのビートに乗せ歌っていた第二期 SPANK HAPPY (その極点が『Vendôme,la sick Kaiseki』だ)の「ファンダメンタリスト」は、2019年のいまも後を絶たないのではあるが、過去にすがる狂信者を尻目に FINAL SPANK HAPPY のふたりは Instagram やライヴで熱心かつモード系でコミカルな活動を繰り広げている。 そんな FINAL SPANK HAPPY の全貌を、おそらく提示するであろうファースト・アルバム『mint exrocist』がこのたび届けられた。見る者を困惑させるカバー・アートが部分的に物語っているように、「最終

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                      • interview with Bicep | ele-king

                        前作から約3年半程のインターバルをおいて「上腕二頭筋の2人組」が2枚目のフル・アルバムを発表した。またも〈Ninja Tune〉からのリリースである。〈Ninja Tune〉とバイセップの相性はとても良さそうで、特定のジャンルに囚われないスタイルや、どこかギークっぽい部分も見せながら洗練されたサウンドやデザインが光る部分など共通項はとても多い。彼らの代名詞とも言えるブログ「FeelMyBicep」もペースが早まることもなければ遅くなることもなく、黒い無機質なバックグラウンドのブログページに毎月淡々と自分たちが気に入ったアーティストのミックスや音源を紹介していくスタイルは2008年にスタートさせた当初から何も変わっていない。イギリス国内で1万人規模の公演チケットを即完売させるまでの人気に上り詰めても地に足をつけた活動があるからこそ、彼らのアイデンティティーはブレることなくより先へ先へと進化し

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                        • interview with John Cale | ele-king

                          Home > Interviews > interview with John Cale - 新作、図書館、ヴェルヴェッツ、そしてポップとアヴァンギャルドの現在 ジョン・ケイルほどの充実したキャリアがあると、どこから話をはじめればいいのかわからない。ウェールズの小さな村ガーナントで、近所の教会でオルガンを弾き、地元の炭鉱労働組合の図書館が収蔵する楽譜に熱中したのがはじまりかもしれない。ロンドンでフルクサスの芸術家コミュニティと協働していた時期や、アメリカで名前の似たジョン・ケージやラ・モンテ・ヤングと一緒に活動していた時期もある。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドでロックのオルタナティヴな領域まるごとの基盤を築きもした──そこから派生するもうひとつのロック史を、モダン・ラヴァーズやパティ・スミスやハッピー・マンデーズなどのプロデュース仕事を通じて育んだことは言うまでもない。彼の長く多彩なソ

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                          • interview with Keiji Haino | ele-king

                            俺はラリーズに関しては、皆がけなすとほめたくなるし、絶賛すると批判したくなる。そういうフラットな立場でずっと接してきた。なにごとも、神話化されることが嫌いだし。 灰野敬二さん(以下、敬称略)の取材を始めてからちょうど3年が経った。周辺関係者インタヴューも含めて今なお継続中である。この取材は、「灰野さんの本を書いてくれ」というエレキング編集部からの依頼がきっかけだが、私自身の中にも「灰野さんの軌跡をちゃんと残さなくてはならない」という思いがずいぶん前からずっとくすぶっていた。灰野敬二ほどオリジナルな世界を探求し続けてきた音楽家は世界的にも稀、というか他にいないという確信があったから。半世紀以上にわたり、自分だけの音楽を追い求め、膨大な数の作品を残してきた彼の評価は、日本よりもむしろ海外での方が高いし、灰野の全貌を知りたがっているファンが世界中にいる。この貴重な文化遺産をできるだけ詳細かつ正確

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                            • interview with tofubeats | ele-king

                              次の一手がどんなものになるのか、2年前からほんとうに楽しみにしていた。というのも、前作『REFLECTION』があまりにも時代のムードと呼応していたから。いや、むしろ時代に抗っていたというべきかもしれない。「溺れそうになるほど 押し寄せる未来」なる表題曲の一節は、以前からあった「失われた未来」の感覚がパンデミックや戦争をめぐるあれこれで増幅されいまにも爆発しそうになっていたあの年、頭にこびりついて離れなかった歌詞のひとつだった。かならずしもいいものとはかぎらない。でもそれはいやおうなくやってくるのだ、と。 潔い。新作EP「NOBODY」はハウスに焦点が絞られている。むろん、シカゴ・ハウスを愛する tofubeats はこれまでもその手の曲をアルバムに収録してきた。フロアライクなEPの先例としては「TBEP」(2020)もあった。今回の最大の特徴はそれが全篇にわたって展開されているところだろ

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                              • Cornelius ——“変わる消える”の配信を再開したコーネリアス | ele-king

                                コーネリアスが本日(7月22日)より“変わる消える (feat. mei ehara)”を配信している。これは2021年春に作詞作曲され同年5月にレコーディングされた曲で、ヴォーカルにはmei eharaをフィーチャー、作詞を担当したのは坂本慎太郎。昨年7月のリリース直後から配信停止状態が続いていたが、ようやく聴けるようになった。(リミックス・ヴァージョンでは、〈ストーンズ・スロー〉からの作品やソランジュの仕事で広く知られるLAの音楽家、John Carroll Kirbyがリミックスを担当) また、本日よりワーナーミュージック・ストアではリリースを記念したTシャツの販売も開始されている。 Dancer:Hiro Murata Director/DoP/Animator:Koichi Iguchi https://youtu.be/2Je4dhaRtmc

                                  Cornelius ——“変わる消える”の配信を再開したコーネリアス | ele-king
                                • R.I.P. Tadashi Yabe | ele-king

                                  去る7月25日夜明け前、DJ・プロデューサーの矢部直氏が心筋梗塞のためこの世を去った。周知のように彼は日本のクラブ・ジャズ・シーンを切り拓いたひとりで、その功績はとてつもなく大きい。また、彼は日本で暮らしながらも、その窮屈な制度や慣習に囚われないラディカルな自由人というか、まあとにかく、破天荒な男だった。世界の人間を、なんだかんだと社会のなかで労働しながら生きていける人と、アーティストとしてでなければ生きられない人とに大別するとしたら、彼は明白に後者に属する人だった。青山の〈Blue〉で、あるいは〈Gold〉や〈Yellow〉で、最初期の新宿リキッドルームで、めかし込んだ大勢の若者たちがジャズで踊っていた時代の立役者のひとり、90年代という狂おしいディケイドにおける主要人物のひとりだった。 ともに時代を生きてきたDJがいなくなるのは、とても悲しい。以下、矢部直氏とは違う立場で、日本のクラブ

                                    R.I.P. Tadashi Yabe | ele-king
                                  • R.I.P. Damo Suzuki | ele-king

                                    「今」だけを生ききった旅人 松山晋也 昨日(2024年2月10日)の深夜にダモ鈴木さんの訃報をツイッターで知った時、まっさきに思ったのは、やっぱりダモさんの最新インタヴューもとっておくべきだったな、ということだった。2020年秋に私の編集・監修で出た『カン大全――永遠の未来派』には、本人の回顧録『I Am Damo Suzuki』の紹介記事(崎山和弥)と、セレクテッド・ディスコグラフィ(小柳カヲル)、そして私が96年にやったインタヴュー原稿を掲載したが、総ページ数に制限があったため、最新情報までは載せられなかった。まあ、ガン治療で大変そうだと聞いていた上、インタヴューしても肝心なポイント(言葉)はだいたい予想できるという思いもあったわけだが。 ダモさんには過去4回インタヴューした。「日本でのちゃんとしたインタヴューは初めて」だと言っていた最初の取材はたぶん88年だったと思う。70年代後半か

                                      R.I.P. Damo Suzuki | ele-king
                                    • R.I.P Florian Schneider | ele-king

                                      談:ダニエル・ミラー クラフトワークがいなければ、いま巷で聞かれるようなタッチのサウンドや音楽はなかっただろうし、彼らなしにはMUTEも存在しなかったでしょう。彼らは単に私にインスピレーションを与えただけでなく、エレクトロニック・ミュージックを生み出すプロセスそれ自体を理解させてくれたのです。 私はここ数年、フローリアンと数多く会うことが出来てすごく幸運でした。彼と最後に会ったのはデュッセルドルフで、彼が持っているスタジオ近辺を熱心にしかも面白おかしく案内してくれたのでした。例えば彼が見せてくれたのは戦前に作られた電子機器で、それは当時ひと山幾らといったガラクタのなかから買ったそうなのですが、結局一度もちゃんと動かなかったそうです。 また私がフローリアンからオリジナルのクラフトワークのヴォコーダーを購入したのも、とても幸運な出来事でした。実は、そのヴォコーダーはイーベイを通して購入したので

                                        R.I.P Florian Schneider | ele-king
                                      • R.I.P. Yoshi Wada | ele-king

                                        去る5月18日、ヨシ・ワダとして知られる作曲家が77歳で永眠した。1945年生まれのヨシ・ワダ(本名・和田義正)の本格的な音楽活動は、京都の芸術大学卒業後の1960年代の後半、ニューヨークでフルクサスと関わったことにはじまっている。ワダはラ・モンテ・ヤングに共鳴し、そしてヤング&マリアン・ザジーラの作品で知られるプラン・ナートに作曲を学んだ。 ミニマル/ドローン・ミュージックの始祖のひとりであるワダは、70年代には配管工の仕事をしながらその仕事で手に入れたオブジェを楽器に改造して使用していたという。その後もアメリカに在住し活動を続けていたためか、日本には多くの情報が入ってこなかったようだが、〈FMP〉や〈EM Records〉、東京の〈Edition Omega Point〉などといったレーベルから作品を出している。 また、2000年代からは息子であるTashiとのコラボレーションもやって

                                          R.I.P. Yoshi Wada | ele-king
                                        • Playlists During This Crisis | ele-king

                                          家聴き用のプレイリストです。いろんな方々にお願いしました。来た順番にアップしていきます。楽しんで下さい。 Ian F. Martin/イアン・F・マーティン This is a multi-purpose playlist for people stuck at home during a crisis. The first 5 songs should be heard lying down, absorbed in the music’s pure, transcendent beauty. The last 5 songs should be heard dancing around your room in a really stupid way. Brian Eno / By This River Nick Drake / Road Life Without Buildings

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                                          • R.I.P.飯島直樹 | ele-king

                                            ネットワークそれ自体が文化だということを 河村祐介 DISC SHOP ZEROで扱われたレコードの多くは、突き詰めて言うと “つながり” というものがひとつの美学として貫かれていたと思う。“つながり” とは良く知られたブリストルやその他の地域のアーティストやレーベルとの直接の連絡網、現場でプレイされ人と人の隙間を埋める “つながり” もあり、もっとちいさな単位でいえば、違ったジャンルの前後の曲をDJがブリッジするための楽曲のレコメンド、もっと個人のリスニング体験においても、あるアーティストとアーティストの良き隙間を見つけて、そこにはまるなにかとなにかをつなぐ楽曲たち。単体の楽曲としての存在ではなく、楽曲と楽曲、もしくはその他のさまざまな事象とつなげることで生まれうる刺激を絶えず紹介していた感覚がある。もちろん、それはDJカルチャーに大きな価値の源泉をみていたというのもあるとは思うが、もっ

                                              R.I.P.飯島直樹 | ele-king
                                            • interview with Adrian Sherwood | ele-king

                                              UKダブ界の巨匠・エイドリアン・シャーウッドのインタヴュー依頼が舞い込んできたとき、かつてないほどの幸運と緊張を感じた。普段は、とくにここ数年はというとポスト・レイヴの風に飲まれ様々なリズムのダンス・ミュージックに取り憑かれており、ようやくダブに興味を持ちはじめたのもつい最近のことである。そんな自分に聞き手が務まるのだろうかと葛藤したが、自身が愛するジャングルやドラムンベース、UKガラージにダブステップ、グライムといったUK発のベース・ミュージックのルーツであるサウンドシステム・カルチャーの存在はたしかに偉大なものであり、それらに宿る意識が20年代のエレクトロニック・シーンにおいてノスタルジックかつフューチャリティックに新たなかたちで脈々と受け継がれてもいるのもまごうことなき事実である。常に多くの領域に広くインスピレーションを与えてきたこの奥深きダブ観に、自身と同じく無意識のうちに恩恵を受

                                                interview with Adrian Sherwood | ele-king
                                              • Horace Andy | ele-king

                                                ホレス・アンディは黄金の喉を持っている。ヴィブラートのかかったファルセット・ヴォイス。甘い声だが、しかし言葉は反骨的だ。「金、金、金、金、それがすべての悪の根源(Money, money, money, money/Is the root of all evil)」、永遠の名作『ダンス・ホール・スタイル』の冒頭でこう歌った彼は、本作『ミッドナイト・ロッカー』でもこう歌っている。「金、金、お前には心がない」。ホレンス・アンディだけがマッシヴ・アタックの全作品で歌っているのは、彼がブリストル・サウンドの根幹のひとつとしてあるジャマイカのレゲエ・シーンから出てきた歌手だからという、ただそれだけの理由ではないだろう。両者のあいだには精神的な繋がりもあるに違いない。 ホレス・アンディが70年代に残した全作品が必聴盤であり、1982年にNYの〈ワッキーズ〉からリリースされたくだんの『ダンス・ホール・ス

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                                                • interview with Meitei(Daisuke Fujita) | ele-king

                                                  併し、僕のお話は、明るい電燈には不似合です。あなたさえお構いなければ、ここで、ここのベンチに腰かけて、妖術使いの月光をあびながら、巨大な鏡に映った不忍池を眺めながら、お話ししましょう。 江戸川乱歩「目羅博士の不思議な犯罪」 冥丁の音楽はワームホールである。古びた記憶に通じる小径、商店街にひっそりと佇んでいる骨董品屋の畳のうえから繋がる夢……我々が日本で暮らしながらときに目にすることがある、いざ幻想的なところへと、100年前のかすんだ風景へと、冥丁の音楽は時空を抜ける道に通じている。アンティークな夢、誰にも教えたくはない風景へと。 それともこういうことだろうか。世界は同じ時期に同じような夢を見るという。ユング的な同時性の話ではない。「人間社会という一匹の巨大な生物が、何かしらえたいの知れぬ急性の奇病にとりつかれ、一寸の間、気が変になるのかも知れない。それ程常識はずれな、変てこな事柄が、突拍子

                                                    interview with Meitei(Daisuke Fujita) | ele-king
                                                  • 第一回:イギリス人は悪ノリがお好き(日本人はもっと好き) | ele-king

                                                    シビル・ウォー アメリカ最後の日 監督・脚本:アレックス・ガーランド 出演:キルスティン・ダンスト、ヴァグネル・モウラ、スティーヴン・ヘンダーソン、ケイリー・スピーニー 原題:CIVIL WAR 製作国:アメリカ・イギリス A24/2024年製作/109分/PG12/字幕翻訳:松浦美奈 配給:ハピネットファントム・スタジオ 公式HP:https://happinet-phantom.com/a24/civilwar/ ©2023 Miller Avenue Rights LLC; IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved. 10月4日(金)TOHOシネマズ日比谷 ほか全国公開 近未来のアメリカで内戦が勃発するという戦争ファンタジー。3年前に起きた国会議事堂襲撃は確かに内乱の予感を孕んでいた。議事堂を埋め尽くす人々を見上げるように撮ったショットも南北戦争の

                                                      第一回:イギリス人は悪ノリがお好き(日本人はもっと好き) | ele-king
                                                    • R.I.P. Shane MacGowan | ele-king

                                                      野田努 2002年の日韓ワールドカップのときのことだ。抽選でチケットの買えた試合が、横浜国際総合競技場(現・日産スタジアム)で行われたアイルランド・サウジアラビア戦だった。緑色のユニフォームを着た大勢のアイルランド人たちのほぼひとりひとりが、缶ビール500mlの6缶入りのパックを手にぶら下げて、あるいは、スタジオ周辺の道ばたで試合開始の数時間前から座って飲んでいる。道中にあった立ち食いそば屋も缶ビールを手にしたアイルランド人たちで占拠され、なかばパブと化していた。こうなれば頭のなかはザ・ポーグスだ。このバンドからはいくつかのアイルランド民謡を教えてもらった。“ウイスキー・イン・ザ・ジャー”、それから“アイリッシュ・ローバー”。初めてロンドンを訪れたときは、ソーホーを歩きながら“ソーホーの雨の夜”を思い出した。映画『ストレート・トゥ・ヘル』も忘れられない。ご多分に漏れず、クリスマスには何回も

                                                        R.I.P. Shane MacGowan | ele-king
                                                      • interview with Toru Hashimoto | ele-king

                                                        私たちは皆、「Free Soul」以後のパラダイムにいる。何を大げさなことを、と思うかも知れないが、こればかりは確実にそうなのだ。音楽を楽しむにあたって、そこに聞こえているグルーヴや、ハーモニーの色彩、耳(肌)触りを、その楽曲なり作り手であるアーティストの「思想」や「本質」に先んじる存在として、自分なりの星座盤とともに味わい、愛で、体を揺らすというありようは、現在では(どんなにエリート主義的なリスナーだとしても、あるいは、当然、どんなに「イージー」なリスナーだとしても)多くの音楽ファンが無意識的に共有するエートスとなっている。だからこそ、その革新性にかえって気付きづらいのだ。しかしながら、そうした音楽の楽しみ方というのは、元々は1990年代に少数のトレンドセッターたちによって試みられてきた、(こういってよければ)「ラジカル」な価値転換によって切り開かれてきたものなのである。その事実を忘れて

                                                          interview with Toru Hashimoto | ele-king
                                                        • Thundercat | ele-king

                                                          昨日、ついにスタートしたサンダーキャットの来日公演。ドラマーとして同じ〈ブレインフィーダー〉仲間、ルイス・コールが参加するという嬉しい事前告知も手伝って、会場は大いに活気に包まれていた。序盤から全開で炸裂する、驚異的なベースとドラムのコンビネーション。ただただ圧巻のひと言につきます。その恵比寿 The Garden Hall でおこなわれたショウのレポートが早くも到着。 今夜は大阪、明日は名古屋だ。これを読んで備えましょう。 サンダーキャット、2022年の海外アーティストの ツアーの幕開けを告げる熱狂のライブ! この2年を超えて、集まったファン・日本に 最大限の愛を与えた一夜! 抽選で出演者全員のサイン入りポスターをプレゼント! 昨夜The Garden Hallで行われ、称賛の嵐と共に幕を閉じたサンダーキャットの記念すべき日本公演の最速ライブレポートが到着! 今夜の大阪公演、明日の名古屋

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                                                          • 律動と残響 | ele-king

                                                            2010年9月4日の深夜、伊豆山中で開催された「Metamorphose 2010」。スティーヴ・ヒレッジとエリオット・シャープを従えたマニュエル・ゲッチングは『Inventions For Electric Guitar』全曲を星空の下で黙々と演奏し続けた。2時間立ち続けて確保した最前列でその波動を浴びながら、私はいつしか30年前のことを思い出していた。ハンブルクからベルリンへと向かう夜行列車の暗い車窓の向こうにぼんやりと浮かんでは消える町の灯り。携帯テレコから延々と流れ続ける『Inventions For Electric Guitar』と『New Age Of Earth』。1980年の夏、2ヶ月かけてヨーロッパを一周していた私は、時間はかかるけど、どうしてもベルリンに行きたかった。『New Age Of Earth』のジャケット(ヴァージン盤)にある風景を見たかった。有刺鉄線が張り

                                                              律動と残響 | ele-king
                                                            • R.I.P. Steve Albini | ele-king

                                                              5月7日、スティーヴ・アルビニが心臓発作で死去。享年61歳。バンド、シェラックの10年ぶりの新作『To All Trains』の発売を今月に控えたあまりにも急で早すぎる死だった。 80年代、学生時代にシカゴでジャーナリズムを学び、ファンジンのライターと並行して最初のバンド、ビッグ・ブラックの活動を開始。リズムマシーンとギター×2、ベースという編成。ドライなマシン・サウンドと金属的でノイジーなギター・サウンドをもってアンダーグラウンド・シーンで頭角を現した。 彼のバンドとしての活動は、ちょうどCDの登場する時期と重なっていた。ジャケットで日本の劇画『レイプマン』の引用がされていることでも知られるアルバム『Songs About Fucking』の裏ジャケットには「The future belongs to the analog loyalists. Fuck digita」(未来はアナログ支

                                                                R.I.P. Steve Albini | ele-king
                                                              • Various ‎Artists | ele-king

                                                                『Vanity Box』 幻の音源が一挙再発~動き続ける音の先端だけをとらえた記録 〈ヴァニティ・レコーズ〉ほど謎と伝説に満ちた日本のインディ・レーベルはないだろう。一昨年に亡くなった阿木譲氏が『ロック・マガジン』の刊行と並行して78〜81年に主宰した大阪のインディ・レーベル(おそらくJ-インディ界最古)であり、そこからは、フューがリード・ヴォーカルをとったアーント・サリー、エレクトロニック・ユニットのDADAやシンパシー・ナーヴァスなどの作品がリリースされていた……熱心なロック・マニアであっても、おそらくその程度が平均的な知識であり、カタログ中の数枚はきいたことがある……といったところではなかろうか。 〈ヴァニティ〉からは4年弱の間に11枚のLP(うちひとつは2枚組オムニバス・アルバム)、3枚の7インチ・シングル盤、6本のカセット・テープがリリースされ、その他にもロック・マガジンの付録と

                                                                  Various ‎Artists | ele-king
                                                                • 第1回 奪われた余韻と電動シェーバー | ele-king

                                                                  “また、おまえの中では、立琴をひく者、歌を歌う者、笛を吹く者、ラッパを吹き鳴らす者の楽の音は全く聞かれず、あらゆる仕事の職人たちも全く姿を消し、また、ひきうすの音も、全く聞かれない” - ヨハネの黙示録18章22節 雨が降っている。 屋根を叩く雨の音がスピーカーから流れる Throbbing Gristle の乾いたサウンドに潤いを与えている。飯島直樹、Genesis P-Orridge、Gabi Delgado が立て続けにこの世を去り、私の精神からは渇きも潤いも少しだが確実に失われた。巨人たちの喪失に加え出演予定だったイベントは立て続けにキャンセルになり、先の見通しが全く立たたない中で私は日々精神をすり減らしていた。そんな中、ele-king編集部から連絡をもらい、このコラムを始めることにした。タイトルは宇川さんの言葉を借りて「Post-Pandemic Memories」に。月に一度

                                                                    第1回 奪われた余韻と電動シェーバー | ele-king
                                                                  • caroline | ele-king

                                                                    自分で言うのもなんだが、ぼくはreviewを書くのがけっこう速い。もちろん前提として何度か聴いている場合だが、だいたい2〜3時間もあれば2000字ぐらいは書ける。まあ、その分タイプミスも多いのだが、4時間以上かけることはまずない。 たぶん、ぼくが原稿を書くうえでもっとも時間をかけているのは書き出しだ。DJで言えば1曲目。それが決まればゴールも見える。そう、そんなわけで、キャロラインのreviewを書こうと昨日取りかかったのだが、これがいっこうに書けないでいる。書き出しがうまくはまらないのだ。この素晴らしい音楽を伝えるのに、果たしてどこからはじめたらいいのか、いくつか書いてみたのだけれど、どうもしっくりこない。 ぼくはキャロラインのアナログ盤を買った。ジャケットの写真に強く惹かれたし、見開きの写真も見たいとも思った。そして、針を下ろしてクレジットをしげしげと眺めながら聴きたいと思ったというの

                                                                      caroline | ele-king
                                                                    • R.I.P. Tom Verlaine | ele-king

                                                                      まあ、いまとなってはこっぱずかしい話ではある、中高生のときにロック、ことパンク周辺に夢中になってしまったぼくは、昼も夜も音楽のことばかり考えて、好きになった曲の意味をなんとしてでも知ってやろうと、辞書を引きながら一生懸命日本語訳に挑戦したものだった。テレヴィジョンはサウンドはもちろんだが、ぼくにとっては歌詞の世界にもどっぷりはまったバンドだった。 “Marquee Moon” の出だしの言葉を、これまでの人生でなんど反芻したことだろう。「I remember how the darkness doubled/ぼくは憶えている。その暗闇がいかにして重なったのかを」 それだけで充分だった。暗闇は前提であって、それがどうしてさらに暗くなったのかが問題だった。冷たさや夜の空しさだけが真実だった。 そりゃあ私だって幸運だったこともある まやかしだったけれどね ローラはそう言った 彼女は目を閉じてしま

                                                                        R.I.P. Tom Verlaine | ele-king
                                                                      • interview with Sonic Boom | ele-king

                                                                        ソニック・ブーム。 スペースメン3のふたりのファウンダーのうちのひとりである。イギリスのサイケデリック・バンド、スペースメン3はわずか10年に満たない活動期間(1982年~1991年)の間は一部の熱狂的なファン以外にはあまり知られることはなかったが、特にここ日本でスペースメン3の受容史はまあ、お寒いのひとことではあった。来日公演はもちろん一度もなかったし、そのアルバムがリアルタイムで発売されたのはほとんどバンドが解散状態にあった1991年の4作目にしてラスト・アルバムとなった『Recurring(回帰)』のみというぐあいである。 しかし、実はこの『Recurring』以前にスペースメン3関連のアルバムがひっそりと日本でも発売されていた。それがソニック・ブームのファースト・ソロ・アルバム『Spectrum』だ。 ストーン・ローゼズがデビュー・アルバムを発表し、一躍話題となった〈Silvert

                                                                          interview with Sonic Boom | ele-king
                                                                        • TESTSET | ele-king

                                                                          TESTSET のファースト・アルバム『1STST』を聴き、私はある不思議な感慨におそわれた。「継承と刷新」が同時におこなわれているような感覚とでもいうべきか。 しかし圧倒的な速度感で駆け抜けるような焦燥感に満ちたアルバムを聴き終わったとき、「いや、まさにこれこそ正しく「バンド」のファースト・アルバムではないか!」と思い直した。古今東西のあらゆる「バンド」は過去の継承と刷新を同時におこなうことで「いま」に切り込んできた。TESTSET も同様だ。彼らは危機的状況=クリティカルな状況からはじまらざるをえなかったバンドである。つまりは状況と過去に対して向き合わざるをえないはじまりだったのだ。 2021年。高橋幸宏の闘病、東京オリンピックにまつわる小山田圭吾の炎上を経由して、彼らの前身である METAFIVE はその活動を休止した。予定されていたセカンド・アルバム『METAATEM』のリリースも

                                                                            TESTSET | ele-king
                                                                          • レコード蒐集家訪問記 第⼀回 | ele-king

                                                                            近年、世界中で拡がり続けるアナログ・レコード。⾳楽メディアとして⼈々の記憶から⼀度忘れられかけたものの、今では⾒事に表舞台に復活しました。しかし東京のレコード店の多さが最多であった90年代頃と⽐べてみると、当時の規模にまではまだまだ拡大していない状況。若い世代も今はレコードを聴く⼈が増えてきているようですが、実際にどのようなレコード・コレクションをしているのでしょうか? そんな疑問を抱えて、とあるミュージシャンの30代男性(若くもないですが・・)宅にVGAチームで⾶び込み取材を遂⾏致しました。 [今回のレコード・コレクター] 齋藤辰也 / chill blankhead(1989年生まれ) DJパーティー<Cosy Inside>主宰。パブリック娘。メンバー。CDとレコードが大好き。 *** 埼京線で渋⾕駅から15分。我々は⼗条駅に降り⽴ちました。東京都の北に位置する、その名の通りの北区に

                                                                              レコード蒐集家訪問記 第⼀回 | ele-king
                                                                            • Sisso | ele-king

                                                                              ロシアのウクライナ侵攻を一貫して支持しているチェチェン共和国は先月、子どもたちの未来のために音楽のテンポに制限を加え、BPM80以下もしくは116以上の音楽を取締りの対象にすると発表した。イスラム教というのは突拍子もなくて何を制限するのか予想もつかないけれど、どうしてまたそんなことを思いついちゃうのかなあ。ロック=西洋とか、ゲイに厳しい風土なのでディスコやハウスを規制したいというのはわかるとして、BPM80以下というのはダブとかスクリュードにも政府が脅威を感じたということなのか。だとしたらそれはそれでスゴい気もするし、BPM80~116というとほとんどのヒップホップはOKなので、チェチェンの未来はヒップホップ一色になっていくのかなとか。いずれにしろこれでチェチェンの子どもたちは〝フィガロの結婚〟や〝ナイトクルージング〟は聞けないことになり(クイーン〝We Will Rock You〟はぎり

                                                                                Sisso | ele-king
                                                                              • interview with salute | ele-king

                                                                                レイヴ・リヴァイヴァル、ダンス・ミュージックの復権は止まらない。パンデミックによる自制、あるいは社会的抑制からの開放。サルートのアルバム『True Magic』はこの動きと重なる一枚であり、ひとりの音楽家が正面突破を図り境界を越えようとする試みである。彼のキャリアを簡単になぞると、ナイジェリアから移住した両親のもとにオーストリア・ウィーンで生を受け、18歳でUKのブライトンに移り住み、後に現在の拠点であるマンチェスターに移住。UKに移住した動機は兄やゲームをきっかけとしてダンス・ミュージックと出会い自ら制作をはじめたからという根っからのプロデューサー気質。UKに移ってからは、様々な人たちと出会いつつ、ダンス・ミュージック、クラブ・ミュージックのセンスに磨きをかけていった。いくつかのEPを発表した後に最初に大きく注目されることになったのが2018年~’19年にかけてリリースされたミックステー

                                                                                  interview with salute | ele-king
                                                                                • 第1回目:#Metoo以後のUSポップ・ミュージック | ele-king

                                                                                  まるでプラトンの「洞窟の寓話」みたいだ。男性優位にもとづいた家父長的な観念の数々が何千年ものあいだ女性の経験をかたちづくってきたために、その外でシスターフッドを概念化することは難しいし、ましてそれを定義することは難しい。 いずれにせよ私は、フェミニズムがこんにち辿りついている地点を疑わしく思っている。いうまでもないことだが、たとえば日本とアメリカのあいだにある社会的・文化的なニュアンスの違いは、結果として女性の行為についての異なる基準を生みだすことになる——つまりジュディス・バトラーが述べたとおり、「ジェンダー[役割の数々]は行為遂行的なものであり[……それらが]行為されるかぎりにおいて実在する*2」ものなのだ。だけどけっきょくのところいま、ニューヨークから東京まで、誰もが同じ経験をしている。つまりいま現在のフェミニズムのなかでは、女性にたいする抑圧のメカニズムそのものが、私たちをエンパワ

                                                                                    第1回目:#Metoo以後のUSポップ・ミュージック | ele-king