■総論 書体のことを「タイプフェイス」と呼ぶことがあります。「タイプフェイス」とは「文字のかたち」のことを指すので、ほぼ「書体」と同義語と思っていいでしょう。また「タイプフェイス」は広義には「文字の性格・表情」を表すともいえます。 人の顔に表情がそれぞれあるように、書体にも、その書体に備わった表情があります。しかし、人の顔のように特徴がはっきりしていないので、一見するだけではわかりづらいのも確かです。 デザインを始めたばかりのかたが異口同音にいうことがあります。「明朝体やゴシック体の差くらいはわかるけど、明朝などの書体は、みんな同じに見えてどう違うのかわからない」というもの。その悩みは解消しなければなりません。これからのデザインワークに大きな支障をきたすからです。 本稿では、代表的でありながら、多数の書体が存在するために表情の判別がしづらい「明朝体」と「ゴシック体」について考察していきます