TBSラジオの記者であり、同社の過去音源など、アーカイブの整備も担う崎山敏也氏の実践を報告するシリーズの後編である。 崎山のアーカイブ活用の実践には、狙いが2つある。 社会的出来事は時間がたつと、特定のイメージを帯びて人々の記憶の中に固定化する。その過程で、出来事本来の複雑な実情は削ぎ落とされがちだ。前編では、アーカイブ音源で「記憶の固まり」を解きほぐし、複雑さを現在において検討するという一面を報告した。 後編では、社会的出来事に思いこみ(特定のイメージ)を植えつけ、人々に記憶させることにメディアが加担する場合があり、その深刻さに気づこうという側面を取り上げる。 本稿では崎山の実践の意義と課題をまとめたうえで、アーカイブ整備そのものの現状にも触れる。 メディア研究部 東山浩太 1メディアがイメージを固定化する 前編では、「あさま山荘事件」を題材にしたラジオ特集を取り上げた。冒頭で述べたよう