「ペルシア」と聞いて何をイメージしますか? 美しいモスクや庭園などの神秘的なイメージでしょうか。 しかし、実は古代のペルシアに神秘的イメージは当てはまりません。古代のペルシアは、軍事力を背景に多くの民族を束ねた2つもの大帝国――ハカーマニシュ朝(アケメネス朝、紀元前550-同330年)とサーサーン朝(224-651年)――を生んだ地だったのです。 ペルシアはいかにして大帝国を生み、そしてなぜ帝国は滅んだのか...... 世界史ファン待望の一冊である、青木健氏による現代新書の最新刊『ペルシア帝国』から、その一部を紹介します! 「ペルシア」の二重イメージ 筆者が問題とするのは、「ペルシア」自体のイメージが歴史上で大きく2つに分裂している点である。しかもそれは、縦に裂けた亀裂ではなく、横に走った亀裂である。 つまり、紀元後10世紀を顕著な境界線として、「ペルシア」はまったく異なった相貌を見せるの