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ブックマーク / ohnosakiko.hatenablog.com (9)

  • 「うち」の記憶の容れ物 - ohnosakiko’s blog

    私が実家に住んでいたのは高校までだった。浪人と大学時代は東京に住み、その後帰郷してからはなんとなく親と生活空間を別にしたくて、実家の近くの庭付き長屋を借りて住み、結婚して賃貸マンションに引っ越し、やがて市外に中古住宅を買って移り住み、そこがもう20年になる。 今は、老母が一人で住む実家を月1回くらいの頻度で訪ねている。昨日ふと思い立って、実家の写真を撮った(携帯なので写りはあまり良くない)。 ● この辺りが雑木林だった昭和30年頃に、父が建てた家。築60年近い。 「山小屋風」の家に憧れていた父の趣味で、屋根に急な勾配をつけ、外壁を丸太で覆っている。昔は大きな木々に囲まれた蒼とした雰囲気で、口の悪い友達に「お化け屋敷」と言われた。 実家よりずっと後に建った近所の家々が軒並み建て替わりつつある現在、この近辺では少々異彩を放つ外観である。時々立ち止まって眺めている人もいるようだ。あまりに古色蒼

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    qt_fb 2017/05/28
  • 「一生懸命勉強するしかないって感じ」「あなたはとっても可愛かった」 - ohnosakiko’s blog

    実家で、母や夫と一緒に、昔の家族のアルバムを見ていた時のこと。 「お母さん、美人だねー」「◯◯ちゃん(妹)、可愛いなぁ」などと褒めた後、夫は私の小学生の頃の写真に、「うーん。これはもう、一生懸命勉強するしかないって感じだな」と言った。なんだとぉ‥‥。 「いやだって、女の幸せが顔かたちで決まるってのは、ずっとあったじゃないか」ということを、モゴモゴと彼は抗弁した。自分は、そういうジェンダー規範が強かった現実社会を前提として、モノを言っただけだと言いたいらしい。 だがそんなことを言えば、「じゃあ、あなたが私と結婚したのはなぜ?」と聞かれると予想できるだろうに、人は予想していない。そして案の定聞かれて(別に今更答えが欲しいわけではないがお約束なので)、「わからない」「忘れた」と答える。脇が甘い。 それはともかく、確かに客観的に見て若い頃の母は美人だし、妹は私より可愛い。あまり可愛くなかった私が

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    qt_fb 2017/04/10
  • 58歳の礼装デビュー、そのホラーでコメディな舞台裏 - ohnosakiko’s blog

    先週、名古屋市市庁舎で名古屋市芸術賞の授賞式があった。 お祝い下さった皆さま、改めてありがとうございました。 ここではその式の模様ではなく、その前に「何を着ていくか」でドタバタした話を。 美容師の親友に受賞を報告した時、「受賞式ではきもの着なさいよ」と言われた。そのつもりですとも。お出かけはきものと決めて2年。ここで着ないでどこで着る。しかしこういう場合どんなきものを着るべきか、いい歳をして実はよく知らない。 礼装に限っては「格」がどうの、TPOがどうのという細かな約束事のあるきもの。親戚の結婚式に参列するような場合は、訪問着か紋付き色無地かなと思うが、自分が壇上に上がる場合は? ネットで調べてみると、まず出てくるのは「夫が受賞し、同伴で式に出る」ケースののきもの。というか、そればかり出てくる。ノーベル賞受賞式の◯◯夫人のきものとか。あとは芸能人の授賞式のきもの。世界が違い過ぎて今ひと

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    qt_fb 2017/03/07
  • 「教えて下さってありがとうございました!」と「悪いということを知らなかったんだから」 - ohnosakiko’s blog

    大学の授業内で時々ミニレポートを書かせ、その提出をもって出席票に替えている。その日、家に帰って80人あまりの学生のミニレポートを読んでいたら、ほぼ同じ内容のミニレポートが続けて四枚出てきた。内容もそっくりなら書体もまるでそっくり。すぐに、これは全部一人の学生が書いたなと感じた。 おそらく、四人の中で一番文章量の多いAさんが「主犯」。あらかじめ頼まれていたAさんが、欠席している残りの三人の分も書いたのだ。そして次回は、その三人の中の誰かが「主犯」を引き受けるのだろう。他の学生の出席票も書いて出すとか、代返をするとかと同じ、昔からある大学生の不正互助行為である。 にしても、それを堂々とやっているのにちょっと驚いた。普通はバレないよう、内容や言葉遣いや書体を多少は変えるものだ。これでは「見つけて下さい」と言っているも同然。自分のも含めて四人分を時間内に書かねばならないということで、小細工している

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    qt_fb 2016/12/22
    大野さんに対して言うのは恐れ多いですが、社会に出る前である学生の不正行為に対して、すごく良い先生のロールを果たしましたね、お疲れ様です。この学生がもし警告されずにそのまま今後の人生を送ったらと思うと…
  • 『超絶技巧!明治工芸の粋』に肝を潰す - ohnosakiko’s blog

    先日、岐阜県立現代陶芸美術館で開催中の『超絶技巧!明治工芸の粋』を観に行った。 明治工芸と聞いてもあまりイメージの浮ばない方は、下のリンク先を。 岐阜県立現代陶芸美術館 展覧会情報01 左上の「パイナップル、バナナ」、中段中の「竹の子、梅」は実寸大の象牙彫刻(牙彫)。この安藤緑山の作品をナマで観たいというのが、今回の主な目的。 初めて行く岐阜県立現代陶芸美術館は、中央線多治見駅からバス15分、徒歩10分。目印が何もなくやや不安になりかけたところで、美術館地階入り口への道があった。滝と川を取り込んだ、風流ながら大胆な作りの建築物。周辺の山には散策路があるようだ。 七宝、金工、漆工、薩摩、刀装具、自在、木彫・牙彫、印籠、刺繍絵画の全163点の展示作品はすべて、京都の清水三年坂美術館所蔵(村田コレクション)のもの。 最初にあるのは、並河靖之の七宝の皿や壷。蝶をモチーフにした驚異的に緻密な仕事に度

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    qt_fb 2015/11/22
  • 私生活の記述が入試問題になる - ohnosakiko’s blog

    昨年度の北海道大学に続いて、今年は中央大学の入試で拙文が問題文に採用されたらしく、日著作権教育研究会というところから「著作物利用許諾のお願い」が来た。 昨年春に出た共著『高学歴女子の貧困』(光文社新書)の中の、私の書いた章「「アート系高学歴女子」の成れの果てとして、半生を顧みる」の一部である。ちなみに私自身は特別「高学歴」ではないし「貧困」(だった)とも言えないのだが、「一人くらい毛色の変わったのも」ということで一番最後に執筆依頼が来、話の内容上、かなり個人的なことも含めて書いた。 引用されたところは、その中でも特にプライベートな結婚生活についての箇所だった。設問を読んでいて、どんどん落ち着かない気持ちになった。 以下、引用箇所。**で括ったところは、実際には傍線が引かれ番号が振ってある。 あるとき、他分野の予備校非常勤講師で *同学年の人と知り合い、つきあって* (傍線部1) 四ヶ月

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    qt_fb 2015/04/22
    こ、これは
  • 名前の煩悩とナルシシズム - ohnosakiko’s blog

    大正時代から現在に至る女性の名前の変遷を辿る記事が、ブックマークを集めていた。 女性名から「子」が消えたワケ? 明美が分岐点:日経済新聞 *1 自分のブコメ ohnosakiko [女][資料]戦前生まれの母も義母も「和子」。戦後の「恵子」は女優の淡路恵子や岸恵子人気もあるかも。最近はアニメの影響が強いのかな、こうして並んでいるとちょっと源氏名っぽい(源氏名と言えば遠い親戚に揚羽ちゃんがいる 和子は記事によれば、元号から一文字取った名付け方ということだが、昭和12年生まれの母に以前、なぜ和子という名前をつけられたのか聞くと、「世の中が平和になりますようにっていう願いを込めたって、おばあちゃんが言ってたわ」。日中戦争が始まった年だからむしろ「行け行けドンドン」的な風潮だったのではと思うが、平和祈願も中にはあったのかもしれない。 3ページ目の表2、この101年間の人気の名前ランキングを眺めて

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    qt_fb 2013/05/12
  • 天井歩き - ohnosakiko’s blog

    小学生の頃、よくした家の中の遊びの一つに、「天井歩き」というのがあった。 直径が30センチくらいの母の大きな手鏡を、顔のすぐ下、胸の少し上のあたりで鏡面を上にして持つ。自分の顔はなるべく映らないようにして、天井を映している鏡の中を見る。すると、自分がまるで天井に立っているような錯覚に陥る。 でもちゃんと立ってはいない。自分の足の裏と"床"であるはずの天井との間に、隙間がある気がする。子どもなので持った鏡の高さが天井より床に近いために、そういう錯覚が起こる。 木目模様の天井から、細いコードに支えられた電灯の丸い傘が真っすぐ上に向かって突き出し、そこから紐がまた垂直に伸びている。見たことのない光景だ。鏡の下から手を伸ばして触ろうとするが、もちろんそこには何もない。 天井の鴨居も、低い塀のように下から突き出している。それを"跨ぐ"。そこにあるのは実際は引き戸の薄いレールや敷居だが、「よいしょ」と

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    qt_fb 2011/07/22
  • 男子にはなれない ● 第八回 ● 純潔の掟 - ohnosakiko’s blog

    シルバーリングの教え 「セックスはすばらしい!」 「セックスはすばらしい!」(唱和) いったいなにごとかとぼんやり眺めていたニュース画面を注視すると、壇上で一人の男(白人)が聖書を振りかざして叫んでおり、会場の少年少女(見たところ白人を中心とした中高生)が、男の叫びをリピートしている。 あっけにとられて見ていたら、「セックスはすばらしい!さあ、今日からセックスを楽しもう!」ということではなく、「だから結婚までとっときます!」ということであった。二度びっくりだ。 これは、アメリカのカトリック系宗教団体「シルバーリング」の会合風景で、壇上の男は牧師。 少年少女は結婚まで純潔を守ることを誓い、誓いの証として銀の指輪を常に指に嵌める。そして、性欲に負けそうになった純潔の危機に際しては、指輪を見て誓いを思い出しぐっと堪えろということである。 唐突に『ロード・オブ・ザ・リング』を思い出した。世界を滅ぼ

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    qt_fb 2011/07/03
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