藤田一照老師(昨日の禅師とは別人)の『現代坐禅講義』を、たまたま入手したので一読。仏教の瞑想、もしくは只管打坐に関する、きわめてまっとうな解説書であると思った。 坐禅、もしくは仏教の瞑想の本筋が、ここではない「どこかに至る」ことや、現在の自分とは違う「何かになる」ことを目指すのではなくて、何もせず「くつろいで」いて、「自分自身に落ち着いていられる」ことを本懐とするものであることは、それなりに実践をやってきた人々にとっては全く自然に理解されることではあるのだけど、それが本書のように、現代の言葉でわかりやすく正面から、丁寧に解説されることは少なかったように思う。 これまで坐禅や仏教の瞑想といえば、業界内の文脈とジャーゴンを知っていないと全く理解できないような、老師たちの秘教的な語りによって紹介されるか、そうでなければ世俗的な関心に迎合する形で、坐禅や瞑想をすると「頭がよくなる」とか「健康になる