北朝鮮が「人工衛星」と称した長距離弾道ミサイルには「非対称ジメチルヒドラジン」と呼ばれる毒性の強い液体燃料が使われていた。今回は空中で爆発し洋上に落ちたとみられるが、専門家は「陸地の上空で爆発していたら毒性の強い燃料が降り、大変なことになっていた」と指摘する。 ヒドラジンは、皮膚に付着すると激しいやけどを引き起こす。気化したガスを大量に吸うと神経系が侵され死亡する可能性もあり、日本では毒劇物取締法により劇物に指定されている。 元海将補で軍事技術専門家の田口勉氏は「酸化剤の二酸化窒素と混ぜるだけで激しく燃焼する特性があり、常温で保管できる。燃料点火に機器がいらずエンジン構造を単純化できるため、弾道ミサイルによく使われてきた」と解説する。 ただ取り扱いが難しく、漏れるとすぐに爆発する。1986年には旧ソ連のヤンキー型原子力潜水艦に搭載された大陸間弾道ミサイルからヒドラジンが漏れて爆発。96年に