紙ストローってなんか味が変になる気がするんだよね。プリントみたいな味がする。 誰かが放った紙ストローへの悪口はその喧騒へとすっと溶け込んでいった。 当たり前のように放たれている言葉だが、それは少しだけ様子がおかしい。 プリントみたいな味だなんて、プリントを食べたことがあるやつしか分からない感覚だ。それを知る人は少ない。妙なことを言うもものだと印象的だった。 昼下がりのカフェは少しだけ賑やかだ。 「なんか今日はめちゃくちゃ混んでるね!」 彼女は褐色のアイスコーヒーグラスが乗せられたトレーを両手に持ち、いそいそと対面の席に腰かけた。 「それでね、さっきの続きなんだけど、すごいのよ、マッチングアプリは」 注文前に話していた話題の続きとばかりに話し始めた。正直、まだその話題が続くのかと少し笑ってしまった。 彼女はいつも煮詰まると僕に声をかける。 前回に会ったときは離婚を考え始めた頃だっただろうか。
女です、声優やってます一応。声優を名乗っていいのかすら、、、。 所属事務所は弱小、あまり仕事ない、取れない。 もちろん私も下手だから落ちまくり、下手というか結局いっぱいいる人達と似たような演技しかできない。だから、可愛くなくて若くない私は選ばれない。ようは何もないから。 テレビアニメ、ネットアニメ、出演ゼロ。珍しい話じゃない。ウィキペディア、もちろんない。 一度ソシャゲのモブ収録の時、たまたま某有名声優の収録見学させてもらえたんだけど(今はコロナで無理だがね)うますぎて、なんていうかね、どういう解釈してどう演技したらああいう演技できるのかさっぱりわからなかった。到底自分には手の届かないものだった。 ソシャゲで名前あるキャラやらせてもらった時は感動したなー、嬉しかったなー、友達にも親にも報告した!友達が課金して引いてくれた時は、あー私声優やれて良かったなーって、、、まあ、短い命(サ終)でした
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