モンテベルデの森は、樹木の間を渦巻いて通り過ぎていく強風で、日本海の荒波のような音に包まれている。乾季に入ったとは言え、カリブ海側(東)からの貿易風が雲や雨をたくさん運んできて、晴れたり、曇ったり、雨が降ったりと、分刻み、秒刻みで天気が流れていく。モンテベルデ特有の気候だ。 そんな気候にも支えられ、ここモンテベルデには多種多様なランが生息している。これまでにモンテベルデの地域で見つかっているのはコスタリカ全体の約40%に当たる600種以上と、中南米で一番多様な場所と言ってもいい。 さて、前回紹介したのは極小から小さな花のランだったが、今回は少し大きめの花をご覧いただこう。ぼくが注目したのは、花のがくと花びら(花弁)の中心から飛び出した、コラム(ずい柱)とリップ(唇弁)と呼ばれる部分。独特な形をしているものがあって、興味深い。 例えば、冒頭の写真のエピデンドルム・エクサスペラトゥム。白と紫の
![第88回 プレスリー・パラシュート・オーキッド](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/25211d1183f43e54af7849aa1e856a01a439295f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnatgeo.nikkeibp.co.jp%2Fnng%2Farticle%2F20141210%2F427718%2Fph_thumb.jpg)