企業の経営者にとって、いつも同じことを繰り返し語るのは、かなり勇気がいることのようだ。 特に年度初めに行う方針説明で、前年と同じことを繰り返すと新鮮味が薄れ、社内から「また同じことを言っている」と言われかねない。そればかりか、対外的な発言でも、新たな方針を期待するマスコミ関係者から落胆の声があがり、それが悪い形で記事になる可能性もある。ある経営企画部門の担当者は、「経営トップは、新たなメッセージを投げ続けることに腐心しているのが実態」と語る。変化の激しい時代において、その中核に身を置くIT関連企業、デジタル家電関連企業ならば、なおさらそうしたプレッシャーが強いはずだ。 だが、それにも関わらず、毎年、同じ方針を掲げる企業がいくつかある。 日本IBMで社長を務める橋本孝之氏は、社長就任前に、「同じことを繰り返し語るには、自分の言っていることに自信がないと無理。経営者には、同じことでも繰り返し語