貧富格差の自己責任論は、極めて科学的である。というのも、自己の行為という原因によって自己の地位という結果が決定されるわけであり、因果図式をとるからである。 受験勉強をしたという行為が、東大合格という結果をもたらす。東大生が就職活動をしたという行為が一流企業就職という結果をもたらし、裕福になる。勉強してよい大学に入るという行為は、裕福な生活という結果をもたらす。また、野球の練習をするという行為で野球がうまくなり、プロ野球選手となって裕福になる。正しく、自己の努力や才能という自己要因が自己選択を経て富を生み出す。 反対に、勉強をさぼったという行為が高校進学を不可能にするという結果を生み出し、就職の幅をせばめ、正社員になれず、貧困になる。犯罪を犯すという行為が免職につながり、貧乏になる。酒浸り・借金・ギャンブルという行為で、失業し、貧乏になる。 特定の社会において、一定の行為=原因が一定の社会的