目的と背景 岡島は目を覚ました。中秋から晩秋になろうという季節だ。布団に入っていてもひんやりとした外気を感じる。元来寒がりの彼は、目覚めたばかりの低い体温ではこの寒さには耐えられぬ、もう少し体をあたためてから起きよう、と掛け布団を体にきつく巻き付ける。ふたたびまどろみ始めた彼は今日の予定はなんだったか、とふと考えた。そしてすぐに思い出す。 「そうだ!今日は客先に行って、自社アプリの構成説明をするんだった!」 彼は飛び起き、そして自分で考えたベストなプラットフォーム構成を説明し、顧客にもきっと満足してもらえるだろうと考え、胸を高鳴らせたのだった。 「Apacheですか?うーん…」 まだ始業してから幾時間も経たない頭も冴えわたる時間、そして外はまさに秋晴れという快晴にも関わらず、株式会社大村田商会の会議室内に情報システム課の花島係長の落胆とも取れる、浮かない声が響いた。 「はい、Apacheで