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ブックマーク / tanakahidetomi.hatenablog.com (6)

  • マルサスの人口急増の経済学

    いまも生きている経済学の古典を紹介したい。 人間は必ず死ぬ。生きる時間が有限であり、その終着点に希望がないことが、かえって人間の生活を幸福にさえするのだ。マルサスの人間観というのは一言でいえばこう要約することができる。今日、人口法則の名称で有名な経済学者トマス・ロバート・マルサスは、他方で安易な啓蒙思想―人類が理想的な完成形態に向かうという18世紀に蔓延した考え方―に冷水を浴びせたことで、経済思想の歴史の中で孤絶とでもいっていい地位を占めている。 マルサスの反啓蒙的な立場が際立っているのが、その天才的な処女作『人口論』(1799年初版)であるのは言うまでもない。マルサスは個々の人間の将来に待ち受ける絶望(=死という終末)があるゆえに、人々は幸福を実感できるという「逆説」を、人類全体に適用した。人間は限られた時間だからこそ、一刻一刻を輝かしいものにできる、という信念であった。 マルサスは人類

    マルサスの人口急増の経済学
  • マンガ規制関連まとめ - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    今年、日銀行問題と並行して関心を深めていったのが、東京都のマンガ規制関連。ただ僕の中では日銀行問題の方がはるかにリアルに取り組まなければいけない優先課題だったので、何か自分から動くという時間的余裕がまったくなかった。主にネットで書いたり、一回だけネットテレビに出たり、副知事の直接見解聞いたり、都議の人に話を聞いたり、講義で自分の見解を整理したり、その程度だった。 以下はネットに書いた自分の考えをまとめたり(人がまとめたものも含む)したもの。 田中秀臣さんによる東京都「非実在青少年規制法案」問題へのツイートまとめ 自分のマンガ規制に関する考えの初期のものをまとめていただいたもの。1万ビューを超えていてかなり注目されている。まとめていただいて感謝したい。思い違いとか初歩的な疑問もあるが、それでも都議会というか東京都の行政がマンガ規制だけではなく、かなり奇妙でおかしなガバナンスだということが

    マンガ規制関連まとめ - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ
  • 長岡義幸『マンガはなぜ規制されるのか』

    書は題名通りにマンガをめぐる規制を戦後の歴史的経験から今日の論争(いわゆる「非実在青少年」問題)まで俯瞰した上で、基的に僕なりの区分で表現すると、「モラルによって表現の自由を制限すべきと考える人たち」と「表現の自由への公的介入は基的に認めないと考える人たち」との対立が鮮明に描かれている。書の立場は後者にあるといっていいだろう。 まず議論を整理するためにデフォルトを設定しておこう (A)すべての人は選択を自らの意思で行いそしてその結果も自ら引き受ける この(A)にはここでいわれている「人」が合理的な主体であり、つまりはその「人」は自分が利用できる情報をすべて活用して意思決定をしているということが前提にされている。その選択が合理的に行われているのであればその結果にその合理的主体が責任を負うことも正当化される。なぜなら選択の結果も彼が選択を行った時点で利用できる情報の中に含まれているから

  • ポルノ、表現、規制 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    今年のJournal of Economic perspectivesにインターネットのアダルトサイトについての研究論文が掲載されていた。日では最近、児童ポルノ問題と関連して熱い議論が各方面で行われている。児童ポルノ規制そのものについての経済学の論文というのは特に目につかないが、より広義のポルノグライフティについては、いま言及した論文をはじめめぼしいものがいくつか存在する。ここでは備忘録代わりに以下に代表的と思われる論文と概要(日時をまたいで断続的にメモ程度)を書いておく。 Red Light States: Who Buys Online Adult Entertainment?(Journal of Economic perspectivesに掲載されたもの) http://people.hbs.edu/bedelman/papers/redlightstates.pdf The e

    ポルノ、表現、規制 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ
  • リフレ政策ついに始まる 2008-12-17 - Economics Lovers Live#p1

    バーナンキFRB、戦後世界経済で(ある意味で不幸であることには違いないが、それでも長期停滞に陥る日にとっては最善のエールともいえる)はじめてのリフレ政策(ゼロ金利、FRBのバランスシートの拡張維持へのコミット、長期国債の買いオペの考慮=ほぼ実施予告など)始まる。 http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20081216b.htm それとこれは時事通信などがhttp://charge.biz.yahoo.co.jp/vip/news/jij/081217/081217_mbiz011.html 報道しているような長期国債購入枠をがっちりはめた、日銀行のバランスシートの膨張を過度に忌避していた過去の日の歪んだ「量的緩和」とはまったく発想が異なるもの。 物価安定(現状ではインフレリスク事実上ゼロなのでむしろデフレ懸念が

    リフレ政策ついに始まる 2008-12-17 - Economics Lovers Live#p1
  • ボ版・経済論戦その3(反経済学)

    ここhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080530#p2の続き 3 反経済学 金子氏らの「セーフィティネットの経済学」は、構造問題主義への批判だけではない。彼らの経済思想は、そのルーツにおいて反経済学的思考と類縁性が強い。このことは金子氏の経済論壇デビュー作のひとつである『反経済学―市場主義的リベラリズムの限界』(新書館、1999年)や『経済の倫理―反経済学からの問い』(新書館、2000年)などの題名からもわかるだろう。このときの反のつく「経済学」が、卑近には竹中平蔵氏らの主張する構造問題主義、その国際版である経済のグローバル化(規制緩和や政府組織の民営化などの効率性向上政策)であることがわかってきた。おそらくこの「経済学」のイメージは、ほぼ稿でいうところの反経済学、そして「市場原理主義」批判の立場にたつ人たちのおおよその合意する姿であろう。こ

    ボ版・経済論戦その3(反経済学)
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