ちょうど70年前に「シャム」から国名が変わったタイで再びシャムに名前を戻そうという運動が起きている。広く定着している「タイ」の呼称をなぜ変える必要があるのか。改名論の背景にあるのは、この国が抱える深刻な内部対立である。関連記事【ウイークリーワールド】タイに微笑み…ダンロップファルケンタイヤ タイで植…記事本文の続き ◇ 1939年6月24日-。シャム(タイ語では「サヤーム」と発音する)からタイへの国名変更が宣言された日だ。ちょうど7年前の32年6月24日、この国では立憲革命が起きて絶対王制に幕が下り、世界では日本やドイツなどの軍国主義が勢いを増していた。国内外の激動の中で、豪腕で鳴らした軍人宰相のピブンが旧体制からの決別と国家主義の高揚を狙って決断したのが国名変更だった。 タイというのはこの国の主要民族の名だ。国名にそれを採用することでタイ民族主義をあおり