米タフツ大学カミングス獣医学部で僧帽弁閉鎖不全症のキャバリア「エース」の心臓の検査をする獣医師たち。エースは、心臓を若返らせる可能性のある新しい遺伝子治療の試験に参加している。(PHOTOGRAPH BY BECKY HALE) 長寿研究者たちは長年、線虫やショウジョウバエ、マウスやラットを研究対象としてきたが、近年はイヌに照準を合わせることで、人間の時間を戻す方法を発見したいと考えている。 人間の肉体や認知能力が加齢とともに衰える理由を探るのに、イヌは格好のモデルになる。イヌは人間と同じ家に住み、同じ空気を吸い、しばしば同じものを食べ、がん、関節炎、糖尿病、認知症、肥満、フレイル(加齢による虚弱)、僧帽弁閉鎖不全症など、高齢者がかかる多くの病気にかかるからだ。イヌの生涯は人間よりもはるかに早く進むので、科学者は人間なら何十年もかかるような生物学的変化を数年で追跡することができ、はるかに少