私たち救急隊は緊急の方の下に駆けつけ、人命のために全力を注ぐことが使命です。救急隊員たちはそのために厳しい選抜試験や研修、国家試験などを経て救急車に乗車して日夜戦っています。そんな私たちの努力も虚しく、この救急車内でいったいどれだけの方が亡くなっていったことでしょうか。 泣き叫ぶ家族の願いも虚しくいっこうに回復する様子のない人、半狂乱の母親が見ている中、反応を示さない子ども…。救急車の中では生きたい、生きて欲しい、そんな願いも届くことなく訪れてしまう避けられない死があるのです。劇的な蘇生事案などむしろひとかけら、現実は死と向き合うことが多いのが現実です。 そんな現場にいる私たちはあの時、許せないと思いました。みなさんは同じように思うのか?あるいはかわいそうと思うのでしょうか? 【出場指令】 もう深夜に入ろうかという時間帯でした。「救急出場、○駅前交番、60代の男性は歩行困難、○交番警察官か