2018年・初夏。私は幸せの真ん中にいた。 人生2度目の結婚は、周囲に祝福されてトントン拍子で決まっていった。 私は17歳で最愛の父を亡くしている。それからというもの、母は、娘に人生の転機が訪れる度「生きていてほしかったよ、お父さん」と仏壇の前で目を潤ませては、なんとも温かい笑顔で語りかけ、手を合わせて父に報告をするのだった。私たちは、そんな両親の結婚記念日に入籍をすることにしていた。 夫と出逢って7ヶ月。のんびり屋の私にしてみれば、比較的スピード婚だ。 私の人生は、何不自由なく順風満帆だったとは言えないけれど、家族や仲間、友人に愛されて、助けられて、間違いなく幸せだった。 ———でも、結婚式は、やらなくていいかなぁ。 私と夫は、周囲にたくさん心配をかけてきたからこそ「もう大丈夫、ちゃんと幸せだよ」と、大切な人たちに伝えたかったけど、それが「結婚式をしよう」には繋がらない。 それが私の本音