日本のGNPが西ドイツを抜き、アメリカに次ぐ世界第2位となった1968年、アメリカ電子機械工業会(EIA)は「日本製テレビはダンピングの容疑あり」と、ソニーを含む日本メーカー11社を財務省に提訴した。日米間に経済摩擦が発生しつつあった。「日本のメーカーがテレビを自国におけるよりも安い価格でアメリカに売っているため、アメリカ国内のメーカーは多大な被害を受けている」というのである。 そもそも、ソニーのカラーテレビは「高すぎる」と言われるほどだったから、ソニーをダンピングに巻き込んだら、彼らの正当性が疑われそうなものだが、国別に判定する方針をとったのでソニーも対象となり取り調べを受けた。1971年には、財務省が「日本製テレビ、ダンピングの事実あり」との裁断を一括して下した。が、まもなく日本メーカーの中でソニーのみが「ダンピング容疑なし」のお墨付きをもらった(1974年8月暫定発表、1975年2月