いきなり自分の話から始めて恐縮だが、評者は今年、34歳になる。昨年暮れには「ああ、俺34になるのか」と意味も無く感慨に耽り、そうこうしているうち、「歴史上の有名人で、34歳で亡くなった人って誰がいたんだっけ?」ということが気になり始めた。 そこで年が明けると同時に10年ぶりに読み返したのが、『人間臨終図巻』である。『甲賀忍法帖』に始まる「忍法帖シリーズ」、あるいは『戦中派不戦日記』などのエッセイで知られる奇才・山田風太郎が、古今東西の著名人の死にざまをひたすら死亡年齢順に記したものだ。 その数は、1683年(天和3年)15歳で火あぶりの刑に処された放火犯「八百屋お七」に始まり、1986年に121歳の長寿を全うした泉重千代まで総勢923人。取り上げられている人物の職業は、政治家、軍人、宗教家、文学者、音楽家、哲学者、芸能人、スポーツ選手、犯罪者と実に様々だ。これだけの数の、バラエティに富む死