新型コロナウイルスワクチンの開発を中止した大阪大発の製薬ベンチャー「アンジェス」(大阪府茨木市)が、大規模生産体制整備のために受けた国の助成金約93億円のうち、未使用分の約12億円を返還する見通しであることが20日、厚生労働省への取材で分かった。 アンジェスは、ウイルスの遺伝情報を利用する「DNAワクチン」というタイプのワクチンの開発を進め、宝ホールディングス傘下の「タカラバイオ」(滋賀県草津市)が生産する計画だった。 令和2年に助成を申請して採択され、臨床試験(治験)を実施したが、期待された結果が出ず、昨年9月に開発を中止した。 厚労省が今月10日に公表した事後評価報告書によると、この事業では年間推定175万回分とされる生産体制を構築。「国産ワクチン向けの生産設備を整備したことは一定の評価ができる」とされたが、開発中止を踏まえ体制整備に使われた81億円を除く約12億円が返還される予定だと