作家夏目漱石が明治末、旧満州(中国東北部)の大連で行った講演の内容が、地元の「満州日日新聞」に掲載されていたことがわかった。講演していたことは知られていたが、内容はこれまで「不詳」とされていた。漱石の人間観がうかがえる興味深い内容だ。(牧村健一郎) 漱石は1909年9月から10月にかけ、旧満州、朝鮮半島を旅し、講演を3回している。うち大連での講演については、岩波書店刊の漱石全集でも「掲載紙誌の有無についても不詳」とされていた。 満州日日によると、09年9月12日午後7時から、大連の満鉄(南満州鉄道)従事員養成所で200人の聴衆を前に1時間余り講演した。この内容が「物の関係と三様の人間」というタイトルで、9月15日から同紙1面に5日間にわたり連載されている。400字詰め原稿用紙にすると約22枚分の分量がある。 人には「物と物との関係を明(あきら)める人(科学者など)」「物と物との関係を変化せ