現在はまだ実現していないが、光触媒と太陽光によって水を光分解し、クリーンなエネルギー資源である水素を得ることが可能になるかもしれない。筆者は光触媒(Pt/TiO2)による水の光分解の発見以来、太陽光エネルギーの利用に関心を持ち、文献をいろいろ調べてきた。 そこでわかったことは、われわれが利用できる太陽光エネルギーの量は、一般に考えられているほど多くないということだった。最近、調べた結果をまとめて、ある文集に標題の文を寄稿した。以下はそれに若干、手を加えたものである。 §1 なぜ太陽光エネルギーか 現在、われわれが主に使っているエネルギー資源は石油(原油)、石炭、天然ガス、ウランなどの地下資源エネルギーである。これらは使えばやがて枯渇する運命にあり、埋蔵量は年々減少している。現在のペースで採掘を続けたとき、今後採掘できる年数を示す可採年数は、原油 約41年、石炭 約155年、天然ガス 約