前回は欧州連合(EU)の温暖化対策の実態について述べ、EUのこれまでの成果の相当部分は、温暖化対策とは無関係な事情によるものであること、最近の温室効果ガス(GHG)削減実績も景気低迷と暖冬によるものであることを示した。こうしたことを述べた理由は、EUを環境先進国とみなし、その政策や外交姿勢を判断基準にして、日本の政策を論ずる傾向がある論者に対して注意を促すことにあった。 日本の論者や環境団体の多くは、日本政府の政策に対して批判することには力を注ぐが、他国、特に欧米の政策に対して注文を付けることはほとんどない。もちろん、日本政府が温暖化対策に対して過剰に消極的すぎたり、外交的に受身になっていたりするのであれば、それを批判すべきだ。しかし、外国が言うことは常に正しく、日本の政策や外交姿勢だけが間違っているということはほとんどありえない。 欧米の環境団体が、日本政府の政策を分析して不十分であ