長年の課題だった「時差通勤」 この夏、小池百合子都知事は、通勤電車の熾烈な混雑を緩和するために、「時差Bizムーブメント」を仕掛けた。最混雑1時間に集中する旅客をその前後に拡散することで、ピークの混雑率を低下しようというのである。 昭和40年代、首都圏では国鉄の複々線化が相次ぎ完成し、地下鉄の開通により郊外私鉄との相互直通運転が拡大したころ、さらにその設備投資の効果を高めるために企業に対して「時差通勤」の働きかけが行われた。 通勤電車のダイヤは、最混雑時間帯に最大の本数を集中させるために、その前後の輸送力が大きく低下していた。近郊駅(たとえば千葉駅)では、7時台には5分間隔で電車が発車したのに対して、9時台には10分以上の間隔が空いていた。 毎年、車両を大量に投入して編成両数の増加や増発で輸送力を充実させたが、予算が限られるため、各路線にまんべんなく配分して、増加する旅客の波に対抗していた