●朝カルの西川・保坂講義で、西川さんが『魂のレイヤー』という本のタイトルの由来を語ったところが気になった。 グランドキャニオンに行った時、風景が薄っぺらなつくりものに見えて、まったく感動できなかった。人間の目はこんなに大きな空間を感じるようにはできていないのだと気づいた。その時、視差による立体視を初めて実現(実感)した猿のことを考えた。馬や犬のように、両目が顔の側面についた状態から、だんだん顔の中央に寄ってきて、ある時、ある猿の感覚のなかに視差による立体視が生じた(その立体視はおそらく森の中の猿に生じたと思われるので、森の中の空間のスケールに合っているのだろう)。その時にその猿に生じた立体感のクオリアを、今の自分も感じているのだ、と。そのようにして、様々な段階の生物において「初めて」生じた、様々なクオリアのレイヤーが重なって、今のこの自分ができあがっているのだ、と思った。これはとても面白い