いやぁ、すごかった。何がって『告白』が、である。 そもそも原作『告白』はぶっちゃけ小説としては完成された代物ではないと思う。特に一番重要な2つの“告白”シーンが口語体によって表現されているので、それ以外何が起こってるか分からないという致命的な弱点がある。だからといってこれ見よがしに「今、○○が起こってますね。」と頻繁に言うわけにいかない。実際、読んだ時に「これ大勢の生徒の前で喋ってるけど、ちゃんと全員が黙って聞いてるのかなぁ」とか余計なことを思ったりした。ネタバレになるから書かないがクライマックスの状況もしかりである。 ただ、作者がその表現にかけた情熱は間違いなく汲み取ることが出来る。故にラストはとても衝撃的だった。小説として完成されてはないかもしれないが『告白』には異様な情念が立ちこめており、こういうのが書きたい!という想いに溢れている。ぼくは原作の『告白』は大変おもしろく読んだクチだ。