28頭が出走して行なわれたこの年のオークスは、ゴール前で5頭がずらりと横一戦に並ぶ激戦となり、そのすべてが同タイムで決勝戦を通過。長い写真判定の末に示された1~5着の着差は、それぞれ「ハナ・アタマ・ハナ・アタマ」だったことからも、その凄まじさが分かるだろう。 この伝説的なレースを際どく制したのが社台ファーム生産のノーザンテースト産駒で、前年のJRA賞で最優秀2歳牝馬となったダイナカールである。 その後、重賞勝利を挙げることはできなかったが、3歳牝馬の身で臨んだ1983年の有馬記念では小差の4着に食い込んで、牡馬と互角に勝負できる可能性を垣間見せている。 そのダイナカールは1985年に引退して繁殖生活に入り、父に凱旋門賞馬トニービンを迎えて生まれた4番仔が本稿の主役、エアグルーヴである。 調教師の伊藤雄二は、幼駒が生まれるとできるだけ早くその姿を自分の目で見て、そこから受けるファーストインプ