古来、日本を象徴する霊峰として有名な富士山。江戸時代にも多くの芸術家たちが富士山の姿を描きましたが、今回はそのなかから厳選した31枚をご紹介します。 富士山と太陽のベストコンビ 『絵手鏡』より「富士山図」酒井抱一 画(江戸時代後期) 白い富士山、深く青い空、真っ赤な太陽、そしてたなびく金色の雲。シンプルながら洗練されたスタイリッシュな1枚で、江戸時代の作品とは思えない現代的な空気を醸し出しています。 作者は、江戸時代後期を代表する“琳派”の絵師で、洗練された都会的な作風で知られる酒井抱一。姫路藩主の弟というセレブ出身の絵師でした。 月夜の富士と名将と 『月百姿』より「きよみかた空にも関のあるならば月をとゝめて三保の松原」月岡芳年 画(1886年頃) ぽっかりと月が浮かぶ静かな夜。世界遺産に登録された三保の松原から富士山を見つめるのは、“甲斐の虎”と恐れられた戦国武将の武田信玄公。名将の目に