新聞は「値引き販売」ができないことをご存じだろうか。 全国で新聞は一律の値段だ。これは独占禁止法に基づく「特殊指定」という制度を新聞業界が利用しているためだ。 一〇年前からこうした指定の解除を主張する東京大学の三輪芳朗教授は新聞業界から敵視され、新聞に意見が掲載されない。なぜだろうか。 変わらない問題について、三輪教授に聞いた。 [取材・構成:石井孝明] なぜ新聞から「消された」のか ――三輪教授の意見は、なぜ新聞に出ないのでしょうか。 じつは、複数の新聞関係者から「ブラックリストに載っているから、あなたの意見が新聞に載ることはない」と言われています。 私は一〇年前、総理大臣直属の「行政改革委員会」の「規制緩和小委員会」と、公正取引委員会の諮問機関である「再販問題検討小委員会」のメンバーでした。 そこで「流通における新聞業界の『特権』をなくし、自由に売られる形にするべきだ」と問題を提起した