似たような情景を御用学者が描くのとフェミニストが描くのとでこう変わるのかという風に興味深く読み比べた.どちらもニューエコノミーが格差社会を生み,激務や少子化を招き,働いても報われない仕掛けをつくっている様を描いているのだが,片や原因に焦点を当てて現象の描写と変化の本質について取り上げ,片や社会や経営者を批判し市場競争そのものも必要があれば見直すべきと論ずる.山田氏の淡々とした論調はともすれば空疎な再チャレンジ論を容認する枕詞になりかねないあやうさを感じるし,中野氏のベキ論っぽい提言の多くはマクロ経済の現実から遊離しているようにも思える. 中野氏の主張する最低賃金の大幅引き上げを行った場合,まずコンビニやファーストフードの店頭価格が高騰し,フリーターやNEETの生活を直撃するとか,インフレで結果的に資産を持っている層が得をするんじゃないかとか,労働時間を制限すると,逆に社会的立場を逆転させる
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