「長距離選手に必要なのは、本当の意味での強さだ。俺たちは、『強い』と称されることを誉れにして、毎日走るんだ」 箱根駅伝を舞台にした三浦しをんのベストセラー小説、「風が強く吹いている」の一節である。スポーツは全く違うけれど、鹿島の戦いぶりを目にするたび、いつもこの言葉が頭に浮かぶ。一発勝負では勝てるかもしれない。しかしシーズンの終わりには、いつも自分たちより上の順位にいる。いつも勝つクラブではないが、いつも力強いクラブ。それが鹿島である。 19日のゲームでもそうだった。FC東京の選手たちが積極的に相手陣内へ切れ込み、鹿島の守備陣が後手に回る。タマ(三田)のゴールで先制し、その後も畳み掛けるところまでは東京のゲームだった。しかし2点目を取れないでいるうちに鹿島が流れを引き戻し、終了間際に追いつく。東京にとって6年ぶりとなる、リーグでの鹿島戦勝利がこぼれ落ちていった。 土俵際まで追いつめながら、
たとえ「専門家」によるものだとしても、何らかの順位というのはあくまで主観的なものだ。日本の「トップクラブ」を5つ選ぶこのコラムの試みも、日本サッカー界の20年間に基づいたものであると同時に、やはり私の個人的意見に基づくことも避けられない。 クラブを選ぶにあたって考慮した要因は、結果(特に近年のもの、ただし必ずしもタイトルには限らない)、育成組織、ファンのサポート、スタジアム、経営面、メディアといったものだ。 しかしそれ以上に、次の2点を重視している。 1)ピッチ内外においてサッカー文化を作り上げることに成功しているクラブであるかどうか。 2)クラブや選手たちや経営陣やサポーターが成長しているかどうか。つまりは、未来が明るいのかどうか。 それでは、順番に… 1-セレッソ大阪 数カ月前のコラム(ショートコラム:C大阪はビッグクラブになれる)の中で、セレッソが日本で最初の「トップクラブ」になろう
過去10年のこの国で、最大の大物選手獲得だと言っていいかもしれない。この積極的な補強はたちまちクラブの格を引き上げ、アジアのみならず世界に向けても日本サッカー界を代表するクラブと見なされることになる。 唯一の疑問点は、果たしてセレッソ大阪とJリーグは、ディエゴ・フォルランの加入を有効に活用することができるのかどうかということだ。 フォルラン自身が契約にサインした際の写真をツイートしてから15時間が経過した時点で、チームもリーグもそれぞれの公式ウェブサイトで何の正式発表も行っていない。世界中のメディアが先を競うようにこのニュースを取り上げる中で、公式発表は一番最後に出てくることになりそうだ。 2014年ワールドカップ(W杯)のスター候補が日本にやって来るというのに、これでは大きな機会の損失ではないだろうか。フォルランのツイートは、この原稿を書いている時点で12000回以上リツイートされている
今シーズンの優勝争いも、やはり最終節にまで持ち込まれた。 横浜FMの“マジック1”で迎えた先週末のJ1第33節、横浜FMはホームで新潟相手にまさかの不覚。さらには広島もホームで湘南に勝利を収め、2連覇の可能性を留めた。これにより、最終節は横浜FMと広島、鹿島が優勝を懸けて争うエピローグを迎えた。 そんな中、長居スタジアムで行われたC大阪対鹿島の上位争いは、日本代表のワントップの座を争う柿谷曜一朗と大迫勇也の活躍に大きな注目を集める一戦となった。しかしこの試合では、今をときめく日本代表の両エースの輝き以上に心を動かすシーンがあった。 C大阪のレヴィー・クルピ監督は、今シーズンでの退任がすでに決定済み。事実上、この日の鹿島戦がホーム最終戦となっていた。クルピ監督といえば、同クラブの攻撃的なスタイルを確立し、香川真司や柿谷といった若手選手を積極的に起用し成長させた張本人である。長居スタジアムには
2ステージ制を採用している国のリーグに対して偏見があるわけではなく、Jリーグがこのシステムを用いていた数年間も十分に楽しむことはできていた。時々アルゼンチンやメキシコのリーグを見ることもあるし、見ていて何も問題があるわけではない。日本のサッカーが成功するために、必ずしも欧州のリーグを模倣しなければならないと考えているわけでもない。 さらに言えば、開幕からの最初の20年間を通して、Jリーグを生み出して育て上げてきた人々には本当に心から感謝している。私にとっては世界中で最も大好きなリーグであり、人生の中で大きな部分を占めているものだ。だからこそ、自分なりの意見を広く共有したいと思う。 現時点で、2ステージ制は日本のサッカーにとって正しい選択肢ではないのではないかと考える理由はいくつかある。 最初の理由はごくシンプルに、それが「フェア」な制度ではないからだ。 サッカーは少ない点数で争われるゲーム
多くのFC東京サポーターにとって、Jリーグのシーズン開幕は3月2日に九州石油ドームで行われた大分戦ではなく、戦い慣れた味の素スタジアムの雰囲気の中で行われた9日の試合だった。 だが、集まった2万5千人の東京サポーターがこの日最初に歌ったチャントは、試合のヒーローとなる渡邉千真に対するものでもなければ長谷川アーリアジャスールに対するものでもなかった。「2020」という背番号が入った真新しいユニフォームを身に着け、クラブと東京都の両方に向けて、試合前に感動的な激励演説を行った東京都知事猪瀬直樹氏に対してのものだ。都は2020年に、もう一度夏季オリンピックを招致することを目指している。 この数日前には、猪瀬知事は4日間の日程で東京都を視察に訪れた国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会を迎えていた。評価委は東京都の招致活動の質の高さと、わずか10カ月間で開催への賛成意見が23ポイント増加し70
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