【No Ball,No Life(16)】 突然耳に飛び込んできた大合唱に、感慨に浸った。J1開幕節だった7日、愛知県の豊田スタジアムでの試合前のことである。 「しーなーのーのくーにーはー じーっしゅーうにー!!」 この日は今季史上初のJ1昇格を果たした松本の初陣。敵地での名古屋戦を報じる役目が、松本出身であるということもあって本紙では私に回ってきた。アウェーのサポーターに用意されたスタンドにも約1万人ものファンが駆けつけ、スタジアムの約3分の1をチームカラーの緑のジャージーで染めていた。その光景に目を見張っていたところ、冒頭の歌声が流れ始めたのである。サポーターが歌ったのは、長野県歌「信濃の国」だった。 信濃の国は十州に 境連ぬる国にして 聳ゆる山はいや高く 流るる川はいや遠し 松本伊那佐久善光寺 四つの平は肥沃(ひよく)の地 海こそなけれ物さわに 万ず足らわぬ事ぞなき 長野には県民が愛