1年間の締めくくりの日には、いつも自分が死ぬ日のことを考えるようにしている。今日でもしも自分の人生が終わるとしたら、そのとき自分は何を思うのか。世界のすべてに別れを告げなければいけないとして、そのときに何を言うのか。 二十歳くらいの頃から毎年そんなことばかり考えていたら、いつの間にか歳をとってしまった。死ぬとか死なないとかいう話がどんどんリアルになる。「もしも」の話ではなく「いつか」の話として死を考えなければいけなくなる。 とりわけ今年は、夏に母が他界したことも大きかった。体調を悪くしてから亡くなるまであっという間だったし、直前まで元気だったことを思えば、人はいつも突然にいなくなるものだなあと思わされる。何度も心のなかで繰り返してきた「朝には紅顔ありて暮には白骨となる」という言葉も、実感を持って刺さってくる。 考えたのは、肉体の死ではなく、精神的な死のことだ。もっというと「忘却されることに