伝統的な美学的カテゴリー(美的範疇)のひとつ。一般的には、巨大な対象、恐ろしい対象、曖昧な対象などを目にした際の人間の感情に結びつけられる。 18世紀以降、この「崇高」という美的範疇はしばしば「美」の対概念と見なされてきた。エドマンド・バークによる『崇高と美の観念の起源』(1757)は、「美」を喚起する属性として対象の小ささ、柔和さ、明瞭さなどを挙げる一方、「崇高」を特徴づけるものは対象の巨大さ、恐ろしさ、曖昧さなどであるとした。バークの議論に影響を受けたカントもまた、『判断力批判』(1790)において「崇高」を「美」と対照的かつその付随的なものとみなしている。バークやカント、ひいてはそのはるか遠い起源に当たる偽ロンギノスの崇高論は、20世紀後半に哲学や批評理論の分野でふたたび脚光を浴びることになり、美学や美術批評の周辺でも大いに流行した。その代表例として、ロバート・ローゼンブラムの「抽象
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